ヒズボラとイスラエル、攻撃停止で合意 レバノンへの攻撃は米との停戦妨げるとイランが警告後

複数の女性が乗った乗用車に向かって、迷彩服姿の兵士たちが手で方向を示している。

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画像説明, イスラエル首相がレバノンの首都ベイルート南郊攻撃を指示したため、多くの住民が避難した(1日、ベイルート南郊)
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イランとの停戦合意をめぐりアメリカは1日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルへの攻撃を停止し、対するイスラエルはレバノンの首都ベイルートを攻撃しないという交換条件を提示した。レバノン政府は同日、ヒズボラがこれを受け入れたと発表し、イスラエルも合意したと認めた。これに先だちイスラエルは、ヒズボラによる攻撃への対応としてベイルート南郊のヒズボラ拠点を攻撃すると発表。イランがこれに強く反発していた。

在米レバノン大使館は、「互いに攻撃を停止するというアメリカの提案を、ヒズボラが受け入れたと、(レバノン政府は)確認を受けとった」と明らかにした。

レバノン大使館は1日深夜の声明で、「提案された取り決めのもと、ヒズボラがイスラエルへの攻撃を控えることと引き換えに、イスラエルはベイルート南郊攻撃を中止する」と述べた。さらに、停戦は「レバノンの領土すべてを含む形で拡大される」とも付け加えている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相も、この合意を認めた。他方、「ヒズボラが私たちの都市や民間人への攻撃をやめなければ」、ベイルートへの攻撃は実行すると警告した。

しかしネタニヤフ氏は、「同時に、IDF(イスラエル国防軍)は計画どおりレバノン南部で活動を続ける」とも述べた。

これに先立ちネタニヤフ首相は同日、イランが支援するヒズボラによるロケット弾やドローン攻撃への対応として、ベイルート南郊の「テロ標的」攻撃を命令。イラン側は、そのようなことになればアメリカとの停戦合意違反となり、イランは交渉を中断すると警告していた。

イランはまた、イスラエルがレバノンで続ける軍事行動が、アメリカとイランの停戦を脅かすものとも警告していた。これを受けてドナルド・トランプ米大統領は、ネタニヤフ首相とヒズボラの代表の双方と話をしたと述べ、「すべての砲撃は停止すると、両方が同意した」と表明。イスラエルとレバノンはこの後、攻撃停止の合意を認めた。

双方が戦闘停止に合意したとトランプ氏が発表した後も、いくつかの衝突が続いた。

ヒズボラは、イスラエル北部でドローンと「砲弾の弾幕」を使い、二つの村近くのイスラエルの戦車と兵士に3回攻撃したと発表した。

イスラエル軍は、レバノンから発射された2発の発射体を迎撃したと発表した。負傷者は報告されていない。

レバノンの国営通信社は、イスラエルが南部の複数地域を攻撃したと報道。「非常に激しい爆発」がデビンの町を揺るがしたと伝えた。

多層階のビル群を背に、3車線の道路を埋め尽くす車列が手前に向かっている。合間を走るバイクもいる

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画像説明, イスラエル軍による首都攻撃を逃れようと、避難する人たちの車列(1日、ベイルート南郊)

イスラエル首相のベイルート攻撃指示にイラン反発

イスラエルのネタニヤフ首相は1日、イランが支援するヒズボラによるロケット弾やドローン攻撃への対応として、ベイルート南郊の「テロ標的」攻撃を命じていた。

これを受けて、イラン当局から警告が相次いだ。アッバス・アラグチ外相は、アメリカとイランの停戦は「明らかに、レバノンを含むあらゆる前線での停戦」だと指摘し、「一つの前線での違反はあらゆる前線での停戦違反」に相当すると述べた。

イランの強力なイスラム革命防衛隊(IRGC)に近いタスニム通信は、レバノンでのイスラエルの軍事行動を理由に、アメリカとの交渉を中断する可能性があると報じた。

同通信は、イランとその同盟国が紅海の入り口で「バブ・エル・マンデブ海峡を含む他の戦線で、攻撃を開始する」こともできるのだと伝えた。

しかし、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、イランとの協議は「速いペース」で続いていると主張。ネタニヤフ首相とヒズボラの代表者の両方と話をしたと書いた。

「イスラエルのビビ・ネタニヤフ首相と非常に生産的な電話をした。ベイルートに軍隊は行かず、向かっている軍隊はすでに引き返している」、「同様に、高い立場にいる代理を通じて、私はヒズボラと非常に良い話し合いをした。彼らはすべての銃撃をやめること、つまりイスラエルが彼らを攻撃しないこと、そして彼らがイスラエルを攻撃しないことに同意した」と、トランプ氏は投稿した。「ビビ」は、ネタニヤフ氏の愛称。

レバノンとイスラエルの位置関係を示す地図

アメリカはこれまで、イランとの交渉からレバノンでの出来事を切り離そうとしてきた。対するイランは、ヒズボラに多大なイデオロギー的、軍事的、財政的支援を長年提供してきただけに、どのような合意にもレバノンの平和が条件として含まれなくてはならないと主張している。

アメリカ側は5月31日、マルコ・ルビオ国務長官がネタニヤフ首相とレバノンのジョセフ・アウン大統領に「段階的な緊張緩和」の計画を提案したと発表した。

イスラエルとレバノンの間の暫定的な停戦が4月16日に発効して以来、イスラエル軍はベイルートを2回攻撃した。直近は5月28日だった。

しかし、ベイルート攻撃の頻度は減っている。これは、ホワイトハウスがイランとの停戦合意実現のため、イスラエルにベイルートでの軍事行動を制限するよう圧力をかけているからだという指摘もある。

アメリカとイランの停戦合意は4月8日に発効したものの、戦闘の終結には至っていない。

ホルムズ海峡では、この週末も双方の衝突が相次いだ。アメリカはイランの軍事施設を攻撃したと発表し、イランはクウェートの米軍基地を標的にして対応したと発表した。

こうした状況で、石油価格は週明けの1日に再び上昇。原油価格の世界的ベンチマークであるブレント原油は、1バレルあたり約5ドル上昇して97.44ドルに達した後、95.70ドルまでわずかに下落した。

アメリカとイスラエルが2月28日にイラン攻撃を開始して以来、原油価格の動揺は続き、和平合意か戦争激化かの見通しが錯綜(さくそう)するたびに市場に影響が出ている。

すでに3カ月以上続くこの戦争のため、通常なら世界の石油と液化天然ガス(LNG)供給量の約2割が通るホルムズ海峡は事実上封鎖され、世界のエネルギー価格は上昇している。

トランプ氏はこのところ、アメリカとイランが恒久的な合意に近づいており、交渉は進んでいると繰り返しているものの、今のところ正式な合意には至っていない。