ゼレンスキー氏、ウクライナで高い支持のフェドロフ国防相を更迭 各地で抗議広がる

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が16日までに、ミハイロ・フェドロフ国防相を更迭した。フェドロフ氏は人気が高く、国民や議員らから激しい怒りと抗議の声が上がっている。
ゼレンスキー氏は16日、国防相代行として、イェウヘニー・フマラ保安庁(SBU)長官代行を指名。フマラ氏について、「テクノロジーを用いた戦闘作戦において、広範かつ多くの点で前例のない経験を積んできた」と評した。
更迭されたフェドロフ氏は35歳で、今年1月に任命されたばかりだった。国防省の活性化や、汚職撲滅の取り組み、データを利用した前線の軍事行動の分析と改善などの功績が評価されてきた。
更迭をめぐっては、軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官との緊張関係が背景にあると、うわさされていた。
フェドロフ氏は16日、記者会見を開き、シルスキー氏とアンドリー・フナトフ参謀総長の交代をゼレンスキー氏に提案していたことを明らかにした。
「大統領がシルスキーを交代させるつもりはないと言った時、私は(中略)彼と協力していく方法を学ぶと伝えた」とフェドロフ氏は説明。しかし、「私たちが提案した取り組みはすべてブロックされた」と述べた。
また、シルスキー氏について、「ロシアを非対称的に打ち負かす方法を見つけるという、総司令官の仕事をする代わりに、彼は私たちの国を分裂させる方法を見つけた」とした。
フェドロフ氏はさらに、ゼレンスキー氏から顧問としてチームに残るよう申し出を受けたが、断ったと説明。ゼレンスキー氏と対立しようとしたわけではないとし、同氏については、「ウクライナ国民の声を聞いており、何をすべきかをわかっている。状況は100%解決される」と「確信している」と述べた。
そのうえで、「彼(ゼレンスキー氏)はまだシルスキーの件でどちらの側にもついていないと思う。彼と今日話し、私は良心に従って行動していると伝えた」とした。
軍参謀本部と国防省に「さまざまな」対立
ゼレンスキー氏は16日、キーウを訪問したイギリスのキア・スターマー首相と共同記者会見を開いた。その中で、参謀本部と国防省の間で「組織的」かつ「さまざまなレベル」の対立が起きていたことを認め、シルスキー氏とフェドロフ氏が協力するには、自身の仲介が必要だったと述べた。
一方、シルスキー氏はメッセージアプリ「テレグラム」に簡潔なメッセージを投稿。2022年にロシア軍がウクライナへ迫りつつあった際に、キーウ周辺で展開された防衛作戦を「誇りに思う」とし、今後も「戦争と効果的な戦略に集中」していくと述べた。そして、フェドロフ氏の「ますますの成功」を祈るとした。
ウクライナ議会では16日に、イホル・クリメンコ現内相を国防相に起用するための採決が行われる予定だった。しかし、ゼレンスキー氏によると、クリメンコ氏は検討されている後任候補の1人に過ぎず、正式な提案はまだ出していないという。
ゼレンスキー氏が進める内閣改造の一環として、議会は14日、ユリア・スヴィリデンコ首相の辞任を受理する動議を可決。16日に、国営石油ガス会社ナフトガス社長のセルヒー・コレツキー氏を新首相に任命することを承認した。
各地で抗議
ゼレンスキー氏が、人気の高いフェドロフ国防相を突如更迭したことで、国民からは激しい怒りが噴出し、議員は抗議の声を上げた。
首都キーウをはじめとするウクライナ各地の都市では16日朝、若者を中心に大勢が集まり、「フェドロフに手を出すな」、「勝利を妨害するのをやめろ!」などといったメッセージを掲げ、「恥を知れ!」と声を張り上げた。

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オレクサンドルという名のウクライナ兵は、「ゼレンスキー氏が大統領在任中に犯した最悪の過ちだ」とBBCに語った。
この男性は、フェドロフ氏率いるチームとビジョンを信頼していたからこそ、今年初めに軍に入隊したと話した。「彼(フェドロフ氏)を交代させるという決定を支持する人を誰も知らない。軍の中にも、社会の中にもそんな人は誰もいない」。
キーウ中心部のイヴァン・フランコ広場で開かれた抗議集会に参加していた、マリア・ラヴリネツ氏(31)は、「軍隊に友達がたくさんいる。その多くは亡くなった。こんなことは続いてほしくない」とBBCに語った。「私たちは(フェドロフ氏の)成果を知っているし、兵士たちの士気も知っている。だからこそ、私たちは彼らのために立ち上がるべきだ」。
抗議行動についてコメントを求められたゼレンスキー氏は、「皆さんが声を上げたいと思ったのは当然のことだ。社会が何を訴えているか、私は理解しているし、耳を傾けているし、その声に反応している」と答えた。

国防省を再編、デジタル相として「IT軍」設立も
フェドロフ氏は国防相に就任後、国防省の再編に着手した。当時、ウクライナでは多くの人が、同省が官僚主義と旧ソ連時代の考え方にとらわれ過ぎていると考えていた。
同氏はデジタル変革相として、2022年のロシアによる全面侵攻の初期段階から、ロシアに対するサイバー攻撃を仕掛けるための、ボランティアで構成される「ウクライナIT軍」の設立に積極的に関わっていた。
後に、ドローン軍と呼ばれる資金調達キャンペーンを成功させたほか、戦争に「ゲームのメカニズム」を取り入れ、ウクライナ部隊がロシアの資産を攻撃することでポイントを獲得できるシステムを設計した。
国防相に就任した後も、フェドロフ氏はドローンやハイテク兵器、装備調達に注力し続けた。
就任して間もない時期には、米宇宙企業スペースXの創設者イーロン・マスク氏に対し、同社の衛星インターネットサービス「スターリンク」を利用して、ロシアがドローン攻撃を実施するのを不可能にするよう要請した。この働きかけは、ロシアの前線における作戦や前進に大きな混乱をもたらした。
フェドロフ氏率いる国防省は、ウクライナが最近行った、ロシア占領下のウクライナ南部クリミア半島への攻撃においても重要な役割を果たした。フェドロフ氏は先月、中距離ドローン攻撃を用いてクリミア半島をロシアから完全に「切り離す」と誓っていた。
フェドロフ氏は更迭されて間もなく、フェイスブックへの投稿で、自身の功績を挙げ、「非対称性、革新のスピード、組織力によって敵を打ち負かし続ける」と述べた。
ウクライナの人気ブロガーで、フェドロフ国防相の顧問を務めたセルヒイ・ステルネンコ氏は、かつての上司を「ウクライナ史上最高の国防相」と称賛した。一方で、より深い改革の実現を阻んできた「官僚的な障害や人為的な遅延」を嘆いた。
同じくフェドロフ国防相の顧問だった、「フラッシュ」というニックネームの技術専門家は、フェドロフ氏のチームの一員だったことを光栄に思うとしたうえで、「私はさまざまなシステムへアクセスすることができ、敵の行動を分析したり、彼らの次の動きを予測したりしてきた。それがもうできなくなるなんて」と嘆いた。
著名なドローン部隊指揮官であるパブロ・イェリザロフ氏は、フェドロフ氏の更迭に抗議するかたちで、ウクライナ空軍副司令官の職を辞任した。今回の更迭は、「国の防衛能力にとって大いなる弊害」だと、イェリザロフ氏は述べた。












