ドイツ極右AfDが大勝へ、東部州議会選 過半数にはわずかに届かない見通し

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ポール・カービー欧州デジタル編集長、ジェシカ・パーカー・ベルリン特派員(マグデブルク)
ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で6日、州議会選挙があり、移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が主要政党を大きく引き離し、劇的な勝利を収める見通しとなった。過半数には届かないとみられるが、AfDは議会運営を担う民意を得たと主張している。
票の大部分が集計された時点での暫定開票結果で、AfDは過去最高の44%の得票率を獲得する見通し。保守派・キリスト教民主同盟(CDU)の得票率は17%と、大きく引き離された。
AfDは6日夜時点で、ザクセン・アンハルト州議会(定数83)で39議席を獲得する見通し。単独過半数には42議席が必要。
ザクセン・アンハルト州のカリスマ的指導者で、AfDの州首相候補ウルリッヒ・ジークムント氏(35)は、「驚くべき」結果だと歓迎し、できるだけ早急に議会運営を開始したいと述べた。
第2次世界大戦以降、ドイツでは極右政党が州政府を掌握した例はない。州レベルで政権を担うことは、治安維持や地域の教育・文化政策などに関する権限を持つことを意味する。
ザクセン・アンハルト州の人口は、約210万人と少ない。ドイツの国内情報機関、連邦憲法擁護庁は昨年5月、同州のAfDを「右翼過激派」に指定している。ジークムント氏はこれを一蹴している。
6日の出口調査で、AfDの得票率が2021年の州議会選挙の2倍以上になる見通しだと示されると、ジークムント氏と、AfD共同党首のアリス・ワイデル氏とティノ・クルパラ氏は大いに喜んだ。
評論家や政敵は今回の結果について、これまでの流れを変える分岐点で、過去との決別だと呼んだ。ドイツ公共放送ARDの主要チャンネル「ダス・エルステ」は、看板犯罪ドラマ「タートオルト」の放送を中止し、選挙結果の速報番組に切り替えた。
ジークムント氏は支持者に対し、「これはザクセン・アンハルト州に限った話ではない」と述べた。「ドイツ全土に向けたシグナルだ。自信に満ちたシグナルだ」。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、独テレビ局による開票予測のスクリーンショットを投稿した。その後、ロシア大統領特使のキリル・ドミトリエフ氏がトランプ氏の投稿をスクリーンショットした画像と共に、「実務重視のAfDの歴史的勝利」を称賛する内容を投稿した。
ドミトリエフ氏は以前、ロシアに友好的なAfDについて、「希望と理性、協力と真実、そしてドイツにとっての希望を体現する政党だ」と称賛していた。昨年の独連邦議会選挙前には、アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領がAfDへの支持を表明し、独国内で政治介入だとの批判が出た。
一方、ポーランドの中道右派ドナルド・トゥスク首相は今回の選挙結果について、「ポーランドでAfDの勝利を喜べるのは、愚か者か裏切り者だけだ」と言い、トランプ米権やロシアとは真逆の反応を示した。

AfDは過半数には届かない見通しのため、少数与党政権を発足する可能性があるとの見方を、同党の国政トップらも示している。しかし、ジークムント氏はこれまで、少数与党政権を率いることを拒んでいる。
ジークムント氏は、「必要なら、もう一度選挙を行えばいい。そうなれば、我々は50%か55%(の得票率)を獲得する」と述べた。一方で、個々の議員や他党と協力する用意はあるとも話した。
左派ポピュリスト政党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)」が、州議会入りに必要な5%の得票率を確保できるかどうかは、開票開始から数時間は不透明な情勢だった。しかし暫定結果では、この条件を達成した様子。BSWが議席を獲得できなければ、AfDが過半数を獲得する可能性は高まっていたとされる。

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AfDの支持者が集まる会場では、スクリーンに開票結果予測が表示されると歓声が上がった。
それから間もなく、支持者らはドイツ国家を歌い始めた。
ジークムント氏は、「我々はこの州で歴史をつくった」と述べた。一方、CDUの州首相候補スヴェン・シュルツェ氏は、保守派の票が前回選挙から半分以下に落ち込むのを見届け、AfDの勝利を認めた。
シュルツェ氏は、「極めて厳しく、激しい選挙戦だった」と振り返り、CDUはこの結果を受け止める必要があると付け加えた。
中道左派の社会民主党(SPD)は、選挙結果を「まさに劇的」と形容した。CDUと連邦政権を組むSPDのラース・クリンクバイル共同党首は、今回の結果は「独政府への警告」だとし、その声に必ず耳を傾けると述べた。
AfDは今回の選挙戦を席巻しただけでなく、選挙結果でも支配的な勢力として台頭している。支持者たちは、AfDが勢いに乗っていると考えている。

ザクセン・アンハルト州議会選挙の投票率は76.7%と、とりわけ高かった。州都マグデブルクに集まったAfD支持者らは、有権者の支持を勝ち取ったジークムント氏の手腕を称賛した。
オリーという名の男性は、「この人は、ほかの誰にもできないものを私たちに与えてくれる」とBBCに話し、「どの政権も、状況が良くなると約束するだけだ。これは働く人々のための政党だ。まさにドイツのための選択肢だ」と述べた。
AfDに投票したバートという名の男性は、独東部の住民は、いろいろなことがうまくいっていないと感じているのだと話した。「私たちのために、自分の家族のために、状況の改善が必要だ。私には3人の子どもがいる。安全がますます損なわれるのではないかと、本当に恐れている」。
ほかの政党は、極右勢力を政府から締め出すことを目的とした「ファイアウォール(防火壁)」を敷いており、AfDとの連立を拒否している。ただ、ザクセン・アンハルト州では、BSWが州議会で議席を獲得した場合、一部の政策でAfDと協力する意向を示している。
AfDの支持率は、全国的な世論調査でも、フリードリヒ・メルツ首相率いる与党CDUやSPDを上回り、首位に立っている。ただ、同党の地盤は東部各州だ。
AfDは2024年、ザクセン・アンハルト州に隣接するテューリンゲン州の州議会選挙でも第1党となった。ただ、州政府を掌握するのに必要な議席は確保できなかった。
AfDの政策には、特に問題視されている「再移住」計画がある。これは、移民の大規模送還を意味すると広く受け止められているが、AfDは犯罪者や不法滞在者を国外退去させるものだと説明している。ただ、ドイツ16州のうちいずれかの州政府をAfDが率いたとしても、その目的を達成することはできないだろう。
一方で、AfDは地方レベルで大きな権限を持つことになる。AfDは、かつてザクセン・アンハルト州デッサウにあった造形学校「バウハウス」を特に批判してきた。バウハウスは1933年にナチスが政権を握った後、閉鎖に追い込まれた。AfDはバウハウスを「モダニズムの行き止まり」だとしている。ナチスと同様のこの表現をめぐり、批判の声が上がっている。
投票前夜にマクデブルクで開かれた反AfD集会「民主主義フェスティバル」の参加者ニキータさんは、ドイツ人は「歴史から学んできた。後戻りしてはならない。私たちは、暗黒の時代はもう望んでいない」と話した。
ザクセン・アンハルト州での結果を受け、バイエルン州と州都ミュンヘンのユダヤ人コミュニティーを率いてきたシャルロッテ・クノブロッホさん(93)は、恐ろしいことだと述べた。第2次世界大戦のナチスによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を生き延びたというクノブロッホさんは、「このような日が来るなんて、ここが本当の自分の祖国なのか分からなくなってしまう」と言い、主要政党に対し、「この衰退」を座視しないよう訴えた。
ザクセン・アンハルト州では、AfDの有力者の一人、ハンス=トーマス・ティルシュナイダー氏も、ロシアに対する姿勢を批判されている。なぜ自分の執務室にロシア軍のマグカップを置いているのか理由を問われると、単なるお土産だとし、「あれは我々の戦争ではない」と答えた。















