ネパール・中国の国境地帯で大規模な土石流 ネパール側で少なくとも270人死亡、800人以上が行方不明
ネパールと中国・チベットの国境沿いで26日、大規模な土石流が発生し、ネパール側で270人の死亡が確認され、800人以上が行方不明となっている。行方不明者には多くの外国人が含まれているとされる。現地では村々が流され、道路やインフラが深刻な被害を受けている。中国側でも死者や多数の行方不明者が出ているとみられる。
日本の複数メディアは、現地にいたとみられる日本人5人と連絡が取れていないと報じている。
当局によると、ネパールの首都カトマンズの北のラスワ郡で26日朝、洪水が発生した。専門家からは、氷河の崩壊がきっかけとなったとの見方が示されている。
ネパールの警察当局は、27日午後の時点で270人の遺体を収容したと、ソーシャルメディアで情報更新した。
ネパールの国家災害リスク軽減・管理庁は同日午後、ボテコシ川・トリシュリ川流域の洪水により826人が行方不明になっていると、新たな情報を発表した。これには治安部隊員、観光客、一般住民らが含まれているとしている。
行方不明の観光客は529人以上とされている。
ネパールは、登山家やトレッキング愛好家、ヒンドゥー教や仏教の巡礼者にとって人気の旅行先となっている。毎年何千人もが、宗教的な聖地で祈りをささげるため、同国を訪れている。

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国境の両側で捜索活動が続けられている。今後数日間で死者数は大幅に増えるとみられている。
中国外務省の林剣報道官は、ネパールで中国人約100人が行方不明と報告されていると発表した。
中国国営放送CCTVによると、チベットのギロン県では、558人が行方不明になっている。うち260人が外国人だという。
行方不明者にして、ネパールと中国の発表に重複があるのかは不明。

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ネパールの警察は27日午前の時点で、所在が判明していない観光客について、ネパール人113人、アメリカ人54人、イギリス人33人などとした。
その後、ネパールの観光当局は、観光客644人と連絡が取れていないとした。インド人178人、ネパール人127人、ウクライナ人53人、マレーシア人51人、アメリカ人65人、オーストラリア人35人、イギリス人33人などだという。
中国国営メディアは、チベットで3人が死亡したと伝えた。
ネパールでガイド付きのツアーなどを提供している会社「アルパイン・エコ・トレック」は、ネパールの国境を越えるツアーに参加していたイギリス人12人、アイルランド人2人、南アフリカ人4人が行方不明になっているとみられると説明した。

チベットからネパールへと流れるボテコシ川の下流域では、複数の地域で高度の警戒が呼びかけられている。一帯では道路、通信、電力が途絶えている。当局によると、カトマンズへの主要道路は閉鎖されている。
ネパールで撮影された、実際の出来事だと確認された動画には、洪水による激しい濁流で橋が流され、複数階建てのビルなどが倒壊する様子が映っている。多くの建物が破壊された町の様子を映しているものもある。
BBCヴェリファイ(検証チーム)はこれらの動画について、バグマティ州ヌワコット郡トリシュリ・バザール地区で撮影されたと特定した。同地区はカトマンズの北西約25キロメートルに位置する。
動画の一つには、トリシュリ川で突然、水量と流速が著しく増加し、堆積物で満たされる様子が映っている。
撮影開始の約40秒後、橋の上部が土石流の重みで支柱から引き離され、川下へと流されていく。その数秒後には、いくつかの建物も倒壊している。
同じ場所から撮影された別の動画には、川の水位が急上昇し、最初の動画に映っていた木々や多くの建物がなくなっているなど、壊滅的な被害状況が映し出されている。
トリシュリでバスの中から撮影された、検証済みの別の動画には、土石流が谷を流れ下る中、数十人が逃げようとしている場面が映っている。
この動画では、洪水の水が急速に増し、川に流れ込む様子が映っている。多くの人が徒歩や原付バイクなどの乗り物で避難しようとしている。バスが川沿いの道を走ると、車内では乗客たちの悲鳴が上がっている。
一帯の正確な被害は不明だが、川沿いの多くの建物が跡形もなく消えたり、部分的に倒壊したりしている。土砂に覆われている建物も多数ある。

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カトマンズが拠点の物流会社を経営する中国人実業家のイー・リャン氏は、被災地域でコンテナトラック7台を保有し、ネパール人従業員が働いているとし、「全員と連絡が途絶えた。電波が届かないので、誰とも連絡が取れない」とBBCに話した。
「私の知る限り、事前の警告は一切なかった。雨季には時折、土砂崩れや地滑りが発生するが、今回ははるかに深刻だ」
ネパール軍のラジャルム・バスネット報道官は、マイラン村で115人の救出活動が進められているとBBCに説明した。
ネパール内務省は、ティムレ、シャブルベシ、ベトラワティで多数の死者が出ている可能性があるとした。洪水はトリシュリ水力発電所にも被害をもたらした。
チベット側の被害状況は不明。四川省の男性はBBCに、チベットで道路や橋を建設する国営会社で働いている妻との連絡が、26日午前に取れなくなったと話した。現地では道路が遮断され、ネパール当局がヘリコプターを派遣して状況を調査しようとしたが、強風のため到達するのが困難な状況だという。
インドのナレンドラ・モディ首相は、ネパールのバレンドラ・シャハ首相と電話で協議したとXに投稿。「インド国民は、この困難な時期にネパールの兄弟姉妹と連帯している」とした。
ネパールの災害管理当局は、川沿いで暮らす人々に、警戒を怠らず、予防措置を講じるよう呼びかけている。
シャハ首相は、状況把握のための緊急会議後、「医療チーム、ボーイスカウト、赤十字と連携して必要な措置を講じる作業を開始した」とソーシャルメディアに投稿した。
ネパールのシシル・カナル外相は議会で、警官26人、武装警官9人、軍関係者44人が行方不明になっていると説明した。
ラスワでは昨年、18人が死亡する洪水が発生している。このときは、国境の中国側で氷河が崩壊したことが原因となった。
気候変動による「氷河崩壊」が原因との見方も
英ダンディー大学で氷河の研究を行っているサイモン・クック氏は、BBCの取材に対し、26日に同僚の一人が、洪水が起きた地域で氷河の下部が消失しているのを人工衛星画像で確認したと説明した。
「地震が雪崩を引き起こしたのだと考えた人もいたようだが、私たちのチームの地震学者は、実際には崩壊した氷河が谷底に激突したのだと確信している。それだけでも、この現象の規模の大きさがうかがえる」
クック氏は、今回の災害の「規模の大きさに(同氏のチーム全員が)衝撃を受けている」と述べ、近年ではヒマラヤ山脈やスイス、イタリアのドロミテなどでも同様の事象が数多く発生していると付け加えた。
そのうえで、「こうした事象のパターンを見ると、気候変動が影響を与えている可能性は否定できない」とした。
クック氏は、地球温暖化によって山腹の一部を支えている永久凍土が融解・劣化している可能性があると指摘。これによって「高山の環境が不安定化」し、土砂崩れや土石流、氷河の融水、湖決壊、氷河崩壊が増加していると話した。













