トランプ氏、イスラエルとレバノンの停戦の3週間延長を発表 イランとの合意は「急がない」

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、同国が仲介したイスラエルとレバノンの停戦を3週間延長すると発表した。一方、イランをめぐっては、合意を「急ぐつもりはない」と述べた。BBCとの電話取材では、イランとの戦争にイギリスが加わっていないことをあらためて批判した。
イスラエルとレバノンは、イスラエルがアメリカと共同で2月28日にイランへの攻撃を開始し、これを受けて、イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが3月2日にイスラエルへの「報復攻撃」を始めたことで、交戦状態に入った。その後、アメリカの仲介で、今月17日午前0時(現地時間)から10日間の停戦に入っている。
トランプ氏は23日、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルへの投稿で、ホワイトハウスの大統領執務室でイスラエルとレバノンの高官らが会合をもったと説明。両国間の停戦の3週間延長がまとまったとした。
また、会合にはアメリカのJ・D・ヴァンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官も同席したとし、「非常にうまく」進んだとした。
そして、「アメリカはレバノンと協力し、同国がヒズボラから自分たちを守るのを支援していく」と表明した。
その後、トランプ氏は大統領執務室で記者団の取材に応じた。アメリカはより長期的な和平合意の仲介に努めているとトランプ氏は述べ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とレバノンのジョセフ・アウン大統領が数週間内にホワイトハウスを訪れるとの見通しを示した。
トランプ氏はさらに、「ヒズボラは確かに問題だ」と指摘。「私たちはレバノンと協力し、同国の状況を正常にしていく」、「イランでの取り組みと並行して、この問題も解決できれば素晴らしいことだと思う」と述べた。
BBCのモーガン・ギショルト・ミナード記者が「レバノンとの協力」について説明を求めると、トランプ氏は「ただ協力していくしかない。私たちはレバノンといい関係にある。驚くべきことに(レバノンは)イスラエルとも、実はある意味いい関係にある。ただ、それらの国は交流がない。だがこれからは交流することになる。私たちはその橋渡しをしている」と答えた。
ミナード記者がさらに、ヒズボラとの戦いで何らかの物質的支援をするということなのか、または外交上の約束に近いのかと質問すると、「それらのすべての要素が入っていると思う」とトランプ氏は述べた。
こうしたやりとりから、ミナード記者は、この日の和平に向けた前進は全体像に重点が置かれたもので、細部はこれから整理されるようだと伝えた。
BBCのトム・ベイトマン米国務省担当特派員は、この日のトランプ氏の発表からは長期的な和平合意への意欲は感じられたが、実現にはヒズボラの武装解除が条件となるなど、極めて野心的な目標だと解説した。
記者団とトランプ氏との質疑応答には、レバノンとイスラエルの駐米大使や、アメリカの駐イスラエル大使ら、直前まで会合に臨んでいた各国高官も立ち会った。それぞれがトランプ氏を、交渉で大きな役割を果たしたとしてたたえた。
イスラエルのイェヒエル・ライター駐米大使は、「あなたの指導力によって、イランは著しく弱体化し、ヒズボラの弱体化と、ヒズボラによる占領からのレバノン解放の可能性は現実となった」と発言。さらに、レバノンから「ヒズボラという悪の影響」の排除を目指すことで、イスラエルとレバノンは一致していると述べた。

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イスラエル軍とレバノン国営メディアによると、両国高官らがホワイトハウスで交渉中、イスラエルがレバノンから飛来した複数の飛翔(ひしょう)体を迎撃した。
ヒズボラは、イスラエル・シュトゥーラ地区をロケット攻撃したと通信アプリ「テレグラム」で発表した。同地区では警報が鳴り響いた。
イスラエル軍はその後、ヒズボラのロケット発射装置を攻撃したと発表した。
イランとの戦争終結は急がないと
トランプ氏はこの日、この質疑応答の前にも一度、ホワイトハウスで記者団の取材に応じた。
イランとの戦争について問われると、トランプ氏はこれまでの主張を繰り返し、アメリカは標的の75%を排除したが、停戦によって攻撃を一時停止していると述べた。また、イランの港湾に出入りする船舶を対象とした海上封鎖については、100%効果的だとした。
そして、停戦を延長することでイランに「混乱」を収める時間的猶予を与えていると述べた。
トランプ氏はさらに、紛争終結へのプレッシャーはまったく感じていないと主張。イランとの間で最善の合意を求めていく考えを示した。
トランプ氏は、アメリカがホルムズ海峡を「完全に掌握」しているとし、イランが合意を結べば、この重要航路は開かれると主張。また、停戦中にイランが石油販売で何億ドルもの利益を上げるのは望ましくないとした。
そして、「私が封鎖を継続した。(中略)向こうが合意を望まないなら、私は軍事的に(戦争を)終わらせる」と発言。同時に、「急ぐつもりはない」と述べた。
これより先、トランプ氏はトゥルース・ソーシャルへの投稿で、ホルムズ海峡で機雷を敷設するあらゆる船舶に対して発砲するよう米海軍に命じたとした。
トランプ氏は、「私は米海軍に対し、ホルムズ海峡の海域に機雷を敷設しているあらゆる船舶について、それがたとえ小型船であっても、撃沈するよう命じた」、「ためらうことはない」と投稿。
米軍の「掃海艇」が「今まさに」ホルムズ海峡で掃海作業を進めていると付け加えた。
BBCの電話取材に応じる
トランプ氏はこの日、BBCのサラ・スミス北米編集長の電話取材に応じた。
トランプ氏の「文明が丸ごと今夜滅びるだろう」という今月上旬の発言は、イランに対する核兵器使用の威嚇なのかとの質問に対しては、「向こうは合意を結びたくてたまらない」とトランプ氏は返答。「私が言うこと、することはすべて、非常にうまく機能しているようだ。どうもありがとう」と付け加えた。
北大西洋条約機構(NATO)については、イランとの戦争においてアメリカは「まったく必要としていなかった」が「そこにいるべきだった」と、トランプ氏は述べた。
なぜNATOに戦争に参加してほしかったのかとの質問には、トランプ氏は「(NATOが)関与してくるかどうか見たかったからだ」と返答。アメリカは「常に」イギリスとNATOを支持してきたとし、イギリスが「少なくとも最小限の努力と、もう少し好意的な言葉」を示さなかったことを批判した。
トランプ氏はこの電話取材で、イギリスのキア・スターマー首相との関係について、首相が「北海を開放」し「移民政策を強化」すれば「回復」するだろうとの考えを示した。同時に、「もし彼(スターマー氏)がそうしなければ、チャンスはないと思う」と述べた。
こうしたなか、米国防総省は23日、イランから石油を輸送していた制裁対象の船舶の航行を米軍がインド洋で阻止したとXで発表した。
同省は声明で、「米軍はインド洋において、イランから石油を輸送していた制裁対象の無国籍船舶『M/TマジェスティックX』に対し、海上阻止措置および訪問権に基づく乗船検査を実施した」と説明。
「イランに物的支援を提供している」とみられる船舶に対しては、今後も阻止を継続するとした。
アメリカはホルムズ海峡で海上封鎖を開始して以来、数十隻の船舶の航行を阻止してきた。これらの船舶はイラン近海ではなく、より離れたインド洋で実施されている。











