【解説】アメリカとイランの協議、パキスタンが促すも行方は不透明 海峡封鎖で対立

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ポール・アダムス外交担当編集委員(パキスタン・イスラマバード)
イランと、アメリカおよびイスラエルとの間の停戦は22日に期限切れとなる予定だったが、ドナルド・トランプ米大統領が21日夜に自分のソーシャルメデアのトゥルース・ソーシャルに、延長すると投稿したことで、どうにか維持されている。
戦闘の代わりに繰り広げられているのが、ホルムズ海峡での「封鎖合戦」だ。双方は武力を使って商船を拿捕(だほ)している。
世界有数の重要水路は一触即発の様相を呈している。事態が制御不能に陥る可能性を否定するのは賢明ではない。
こうしたなか、パキスタンは依然として、イランとアメリカの代表団が和平協議のために到着するのを待っている。
首都イスラマバードの一部では封鎖が続き、それを知らせる標識は残されたままだ。協議が開かれる予定だったホテルは空っぽで、代表団の高官らが戻るのを心待ちにしている。
熱狂的ともいえる期待が何日か続いた後、首都の雰囲気は一変した。
遠く離れた米ワシントンで報道陣が空港へ向かうよう指示されているようだと、そうした話がこちらでも出回った。それを受けて、イスラマバードに近い軍基地に今週着陸した米軍の巨大輸送機C-17グローブマスターが何を運んできたのだろうと、臆測が飛び交うなどしたが、記者同士のそうした会話はもうなくなった。
代わって、パキスタンが国際舞台で存在感を示し、宿敵同士の何かしらの合意を仲介するという好機は、もう失われたのではないかという、暗い認識が広がっている。少なくとも現時点では。
ただ、パキスタンは諦めていない。イランとアメリカの代表団を同席させるために多大な外交的資本を投じてきたパキスタンのシャバズ・シャリフ首相は、「交渉による紛争解決に向けた真剣な努力を継続する」とソーシャルメディアに投稿した。
トランプ氏は、今後数日内に合意に至る可能性はまだあると、少なくとも1人の記者に話した。
これが現実を反映したものか、焦りから出ている発言なのかを判断するのは難しい。来週27日にはチャールズ英国王が国賓としてワシントンを訪れ、それからほどなくしてトランプ氏が注目の中国訪問をする予定となっている。トランプ氏はその前に、最優先課題リストからイランを外したいと思っているだろう。
トランプ氏はイランに「統一した立場」をまとめる時間を与えていると説明しているが、イランはこれを取り合っていない。ただ、イランの政権はすでに戦争で傷つき疲弊しており、停戦を破ってこれ以上、空爆されるような行動に出る可能性は低いと思われる。
一方で、イラン代表団はイスラマバードまでの短い移動にさえ消極的だ。これはどう解釈したらいいのか。
イラン政権を「分裂」と表現
イランは、アメリカが「約束違反」をし、「矛盾した行動」を取っていると非難している。
トランプ氏の公の発言は甚だしく矛盾しており、それが事態を混乱させている。この世の終わりのような破滅的な罰を与えると脅したかと思うと、次にはイランはすでに大幅な譲歩をしているとして、和平を提案する。
イランは、過去1年間に2度、交渉の席に着いたにもかかわらず、まさに交渉中にイスラエルとアメリカによって攻撃されたと不満を述べている。
トランプ氏は、停戦延長を発表した「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ふだんの大げさな表現をせずに、イラン政権が「予想通り深刻に分裂している」と評した。
これは、すでにイランの体制転換を実現したと大々的に宣伝してきた人物が、アメリカは誰を相手にしているのか把握するのに苦労していると、そう認めたという意味なのだろうか。
「政権の分裂」によって、ただでさえ簡単ではないイランとの外交という仕事が、さらに難しくなったということなのだろうか。
意図的かどうかに関係なく、トランプ氏は言葉の選び方を通して、長年イランを見てきたベテラン専門家同士の最近の激論に、しばし参加する形になった。つまり、旧指導層の多くがいなくなった今、誰がイランの実権を握っているのか――という議論だ。












