イラン、アメリカの空爆を非難 停戦合意への「重大な違反」と

海上に数隻の大型船と、2隻の1人乗りのボートが見える

画像提供, Getty Images

画像説明, ホルムズ海峡に浮かぶ大型船とボート。同海峡の近くでアメリカが実施した空爆を、イランは停戦合意違反だと非難している
Published
この記事は約 4 分で読めます

アメリカがイランに対し新たな空爆を実施したのを受け、イランは26日、アメリカが停戦合意に対して「重大な違反」を犯したと非難した。

米中央軍(CENTCOM)は25日、イラン南部で「自衛のための攻撃」を実施したと発表。ミサイル基地や機雷を敷設しようとしていた小型船を標的にしたと説明した。

これを受け、イラン外務省は声明を発表。ホルムズ海峡沿いの同国ホルモズガーン州でアメリカによる「攻撃的で不当な行動」があったとし、同国に責任があるとした。

声明はまた、「イラン・イスラム共和国は間違いなく、いかなる悪行にもだまることはせず、イラン国民を守るために躊躇(ちゅうちょ)もしない」と述べた。

一方、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、アメリカのドローンを撃墜し、イラン領空に侵入した戦闘機に向けて発砲したと発表した。日時は明らかにしなかった。

米中央軍は、25日の空爆の実施地点を明らかにしていない。そうしたなか、米紙ニューヨーク・タイムズは、イラン南部の港湾都市バンダル・アッバス近郊の地域が標的だったとする当局者の話を報じた。ホルムズ海峡に面した同市には、イラン海軍の基地がある。

イランの国営メディアは、バンダル・アッバスで爆発音がし、現地当局が調査中だと報じた。

イラン南部バンダル・アッバスの位置を示す地図。ホルムズ海峡の北側沿岸に位置する。ペルシャ湾、オマーン湾などの海域や、UAE、オマーンの両国、UAEの都市ドバイ、アブダビの位置も示されている

アメリカとイスラエルは2月28日、イランとの戦争を開始した。初日の攻撃では、イランの最高指導者を含む多くの人を殺害した。

数週間にわたる戦闘の後、4月8日に停戦が合意された。5月上旬の目立った衝突を除き、停戦はおおむね守られている。

今回の空爆が、アメリカとイランの紛争終結に向けた協議にどう影響するかは不明だ。

凍結資金の解除などが障害か

アメリカとイランは、現在の停戦の延長と、最終的には紛争終結を目指し、協議を続けている。

アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、合意に至る可能性は依然あるものの、「数日かかる」との見方を示している。

ドナルド・トランプ米大統領は先週末、合意が間近だと示唆。しかしその後、米交渉団に「合意を急がないよう」指示したと明らかにした

米メディアによると、両国が検討している合意案は最終的な解決策ではなく、停戦の60日間延長、ホルムズ海峡の再開、イランの核開発計画をめぐる交渉の継続――が含まれている「了解覚書」だという。

イランは25日、一定の進展は見られているものの、合意は「目前ではない」と説明した。

報道によれば、合意の障害になっているものの一つに、海外で凍結されているイラン資金の凍結解除の要求があるとされる。

和平交渉では、パキスタンが主要な仲介役を務めている。

そうしたなか、イラン交渉団は今週、カタールの仲介者らとの協議に参加している。

ロイター通信が、イラン交渉団のドーハ訪問に詳しい当局者の話として伝えたところでは、25日の協議にはイラン中央銀行総裁が参加し、凍結資産について話し合った。ただ、協議は主に、イランが保有する高濃縮ウランの備蓄とホルムズ海峡がテーマだったという。

イランは現在の紛争が始まってから、世界の石油の約2割が通過する重要航路のホルムズ海峡を事実上封鎖し続けており、世界的なエネルギー価格の高騰を引き起こしている。

アメリカやイスラエル、西側諸国の多くは、イランが核兵器製造を目的としてウランを濃縮していると非難している。イランは、自国の原子力計画はもっぱら平和目的だと主張している。