バーナム新英首相が組閣、財務相にヒーリー前国務相 外相はミリバンド氏

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リチャード・ウィーラー政治記者、ジャック・フェンウィック政治担当編集委員
イギリスのアンディ・バーナム新首相は20日、ジョン・ヒーリー前国防相を首相の右腕に当たる財務相に任命した。外相にはエド・ミリバンド前エネルギー担当相を、国防相にはウェス・ストリーティング元保健相をそれぞれ選んだ。シャバナ・マムード内相は留任した。
バーナム氏は同日正午過ぎ、キア・スターマー氏の後任として、イギリス国王チャールズ3世から正式に首相に任命された。その後、首相官邸のあるダウニング街で行った初の演説では、英政界に「過去40年間で最大の変革」をもたらしたいと述べ、「イギリスに希望を取り戻す」と誓った。
また、今年後半に10年間の「イギリスのための新しい計画」を発表する意向を表明し、この計画は「我々全員が望む英国の姿」への道筋を示すものだと説明した。
バーナム氏は今週中に「もっと余裕を持てるよう、生活費の負担を軽減する」ための発表を行い、その財源をどのように確保するのかを説明すると約束した。
バーナム氏の閣僚人事では、スターマー前首相の側近らが解任された。レイチェル・リーヴス財務相、デイヴィッド・ラミー副首相兼法務相、スティーヴ・リード地域社会担当相が解任された。
一方、防衛費をめぐる対立を理由に6月にスターマー政権を辞任したヒーリー氏は、財務相に就任した。
バーナム氏はイギリスの防衛費に関する公約を履行したいとしている。ヒーリー氏は前政権で、イギリスの安全保障のための追加資金を確保できなかったと批判して辞任したが、今度は財務相として自分自身が、その追加資金を見つけるという課題に直面する。
ヒーリー氏は記者団に対し、バーナム氏と自分は「財政規律を順守しつつ、不確実性に対するバッファを確保するために緊密に連携していく」と述べた。また、「イギリス全土の労働者にとって、生活費をより手頃なものにする方法」についても語った。
ミリバンド氏はエネルギー担当相から外相に就任し、イヴェット・クーパーの後任となる。クーパー氏は保健相に任命された。
ミリバンド氏はBBCに対し、外相に就任することは「人生最大の栄誉」だと語った。同氏の兄デイヴィッド・ミリバンド氏も、2007年から2010年まで外相を務めた。
前政権で保健相を務め、一時は労働党党首選の有力候補と目されていたストリーティング氏は、新しい国防相に就任した。
マムード氏は引き続き内相を務める。また、ルイーズ・ヘイ氏がバーナム政権全体の調整役として、第一国務相、ランカスター公領担当相、内閣府担当相を兼任する。
アンジェラ・レイナー氏は、住宅担当相として閣僚に復帰した。
同氏はスターマー政権でも副首相兼住宅担当相だったが、イングランド南部ホーヴの住居購入時の印紙税を過少納付していたことが閣僚行動規範の違反にあたると判断されたことを受け、2025年9月に内閣から退いていた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首はバーナム氏の首相就任を歓迎したが、「政権運営に関する明確な計画は示されていない」と指摘した。
ベイドノック氏は、「イギリスに必要なのは、人々の機嫌を取る人ではなく、難しい決断を下せるリーダーだ」と述べ、バーナム氏が「マーガレット・サッチャーの政策を覆すと約束した」ことを批判した。
新首相は就任演説で、1980年代のさまざまな民営化や脱工業化政策によってイギリス国内の多くの地域が甚大な被害を受け、いまだに回復していないと指摘。「生活に欠かせない」ものを再び公有化し、公共料金を払える水準まで引き下げ、イギリスの産業を支援すると述べていた。
バーナム氏の公約
バーナム氏が首相として最初に掲げた政策公約は、国内で、多くの人が屋外で寝ざるを得ない状態をなくすことだった。彼は、先月まで市長を務めていたグレーター・マンチェスター地域についても同様の公約を掲げていたが、市長時代には実現できなかった。
バーナム氏はまた、より多くの若者の就労を支援し、公営住宅を増設し、防衛費に関する公約を履行するという抱負についても語った。
首相官邸前での演説で新首相は、「我々は人々がより良い生活を送れるよう支援し、より予防的な国家を築き、人々の失敗にお金を払うのではなく、成功に投資していく」と述べた。
「国民が一つにまとまっているという新しい感覚、共通の目的意識、そして前向きな姿勢を築き上げる。今こそ、イギリスが再び希望を取り戻し、信念を抱き始める瞬間にしよう」
バーナム氏はその後、記者団に対し、秋に予定している初の予算案に先立ち、所得税の基礎控除額を現行の年収1万2570ポンド(約275万円)から引き上げることについて「検討する」と述べた。この問題は、バーナム氏が当選したイングランド北西部メイカーフィールド選挙区での補欠選挙でも、繰り返し話題になった。
一方で、現在の経済状況下ではこの変更は「困難」だとも強調。所得税の最高税率を現行の45%から50%に引き上げることで、基礎控除引き上げの財源をまかなえるかという質問には、「それを言うのは時期尚早だ」と答えた。
バーナム氏はまた、社会福祉制度の改革を実現しないまま「辞任したくない」と強調。この問題に関するイギリス中央政界の過去30年間の実績は「擁護に値しない」と述べた。

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6月中旬に行われたメイカーフィールド選挙区での下院補選に勝利し、下院議員に復帰してから1カ月余りで、バーナム氏はバッキンガム宮殿でチャールズ国王と対面することになった。
約35分間の面会の中でバーナム氏は君主から新政権樹立を要請され、それを受諾し、首相官邸まで短い道のりを移動してその旨を報告した。官邸前に集まった大勢の支持者からは、歓声と拍手が沸き起こった。
バーナム氏は前任者らとは異なり、演台を使わず、原稿を見ずに、首相官邸の黒い扉の前に立ち、国民に向けて演説した。
バーナム氏は、「私は過去10年間でこの通りを歩いた6人目、2016年以降では7人目の首相で、そのことをひしひしと意識している。これは反省と、新たな決意を固める機会だと考えている」と述べた。
「私たちの世代の政治家は、より高いレベルを目指し、新しい課題に立ち向かわなければならない。イギリスは安定を取り戻せると、世界に示す必要がある。そして、政治を機能させ、より良いものにすることが、私たちの課題だ」
バーナム氏は、この瞬間を「イギリスにとってのサーキットブレーカーにして、過去40年で最大の変化、つまり新たな政治モデルと新たな経済モデルを実現する」と表現した。サーキットブレーカーとは金融市場用語で、価格が急激に動いたときに、一時的に取引を停止し、安定を図るための措置。
演説を終えた後、新首相は妻のマリー=フランス・ヴァン・ヒール氏にキスをした。また、首相官邸に入る前に支持者たちと握手を交わした。
野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首は、「新首相から社会福祉、欧州問題、そして貴重な自然環境の保護について、何も聞けなかったのは残念だ」と述べた。
野党リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は総選挙の実施を求め、「バーナム氏が信任を得ずに『40年で最大の政治改革』を行うなど、許されない」と述べた。
野党・緑の党のザック・ポランスキー党首は、今こそ「大胆な政治」を行うべき時だと述べた。
「今日の首相の演説を聞いて、アンディ・バーナムが本当に既成勢力の富と権力に挑戦するつもりなのか、多くの人が疑っているはずだ。結局、これまでと何も変わらないように思えてくる」
トランプ氏らと初の電話会談
バーナム氏は就任直後、ドナルド・トランプ米大統領をはじめとする各国首脳らと電話で会談した。
英首相官邸の報道官によると、新首相はトランプ大統領に対し、イギリスの将来像について自分の「ビジョン」を伝え、イギリスとその同盟国の安全保障を確保することが「首相の最優先課題」だと話したのだという。
両者は中東情勢やサッカーの男子ワールドカップ(W杯)についても話し合ったほか、バーナム氏はトランプ氏に対し、「将来、マンチェスターを訪問した際に、マンチェスターの魅力をぜひお見せしたい」と述べた。
バーナム氏はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも電話で会談した。ゼレンスキー大統領はソーシャルメディア「X」に、「ウクライナとウクライナ国民への支援が揺るぎなく続くことに、心から感謝する」と書いた。
欧州連合(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長はXに、バーナム氏との初会談は「非常に良いものだった」と書き、「私たちは二人とも、EUとイギリスの関係をますます緊密にすることを重視している」とした。
バーナム新首相の就任に先立ち同日午前11時15分過ぎには、サー・キア・スターマーが首相官邸前で最後の演説を行った。スターマー氏が2024年7月の総選挙で労働党を地滑り的勝利に導いたのは、この約2年前のことだった。
スタッフや支持者に囲まれたスターマー氏は退任演説で、「私の仕事は終わった」と述べ、労働党党首としての6年半と首相としての2年の功績を強調した。そのうえで、バーナム氏への全面的な支持を約束した。
スターマー氏は、「私は潔く去る。私は笑顔で去る。そして、私たちが成し遂げたすべてのことを誇りに思いながら去る」と述べ、演説の締めくくった。
















