英ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの指導者が初会談 イングランド議会支配の時代はそろそろ終わると

4人が並んで記者会見に臨み、手前に座るオニール氏が発言するのを見ている

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画像説明, (左から)スコットランドのスウィニー自治政府首相、ウェールズのアプ・ヨーワース自治政府首相、アイルランド野党シンフェインのマクドナルド党首、北アイルランドのオニール自治政府首相が初めて一堂に会した(14日、英ウェールズ・カーディフ)
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デイヴィッド・ディーンズ・ウェールズ政治記者、セムリン・デイヴィス・ウェールズ政治担当編集委員

イギリスのウェールズ、スコットランド、北アイルランド各自治政府の第一大臣(自治政府首相)は14日、ウェールズ・カーディフで初めて一堂に会し、「(イギリス政界の中心地、イングランド・ロンドンの)ウェストミンスターの時代は終わりを迎えつつある」と宣言した。イギリス連合王国を構成する四つの国のうち、イングランドを除く三つの国の自治政府首相たちは、イギリス政府は憲政上の変化に向けて「準備」すべきだと述べた。

今年5月の地方選を機に、イギリスで地方分権が始まって以来初めて、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの3カ国すべてで、イギリスからの離脱を望む人物が自治政府首相に就いている。

3首相はこの日、それぞれ政党の代表として集まった。

イギリス連合王国からの離脱を希望する、プライド・カムリ(ウェールズ党)、シン・フェイン党、スコットランド国民党(SNP)を率いる党首で自治政府首相の3人は14日、「了解の覚書」に署名。各国の住民による自己決定権の尊重を強調し、ロンドンの政府に「民主主義を阻害」する権利はないと主張した。

共同記者会見で、スコットランド自治政府のジョン・スウィニー首相と北アイルランド自治政府のミシェル・オニール首相は、独立の是非を問う住民投票の実施を呼びかけた。一方、ウェールズ自治政府のリーン・アプ・ヨーワース首相は、ウェールズでの投票の実施時期について明言を避けた。

3首相は覚書で、「今のこの様子を、この島々で見守っている人々、そして世界中で見守っている人々にとって、ウェストミンスターの時代が終りを迎えようとしていることを示す、これほど明確な兆しはないだろう」と主張した。

「ウェストミンスターのどのような政府にも、民主主義を阻害したり、私たちの国民が自分の未来を決定するという原則を損なったりする権利はない」と首相たちは強調した。その上で、「我々は、各政党の憲政上の立場はそれぞれ異なり、各国がそれぞれの方法で、それぞれの時期に自らの未来を決定することを認識している」と、互いの立場の違いも認めた。

会合と合同記者会見には、アイルランド野党シン・フェイン党のメアリー・ルー・マクドナルド党首も同席した。

ウェールズのアプ・ヨーワース首相は同日午後、スコットランドのスウィニー首相と、それぞれの自治政府代表として協議し、両政府間の合意文書に署名した。

法的拘束力を持たないこの合意は、「イギリスの資金配分制度の運用や、私たちの憲政上の将来に関する権限などの分野において、ウェールズとスコットランドにとってより大きな公平性を求めていく」としている。

合意はさらに、両政府が子どもの貧困対策や欧州連合(EU)との関係から得られる利益の最大化を含め、幅広い課題について協力して取り組むとしている。

スーツ姿の4人が屋外で、笑顔で並んでいる。背後に観覧車などがある

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画像説明, (左から)北アイルランドのオニール自治政府首相、アイルランド野党シンフェインのマクドナルド党首、ウェールズのアプ・ヨーワース自治政府首相、スコットランドのスウィニー自治政府首相(14日、英ウェールズ・カーディフ)

ウェールズのプライド・カムリの広報担当者はこの日の会合に先立ち、「この島々における政治情勢の変化」により、エネルギー、経済、ヨーロッパとの連携といった分野において3カ国間の「実務的な政治協力」はきわめて有用だと述べた。

プライド・カムリの広報担当はさらに、3カ国の協力分野には「各国が直面する、より多岐にわたる政治的な、憲法上の問題、そして国民の自己決定権」も含まれると述べた。

この日の会談に先立ち、ウェールズのアプ・ヨーワース首相は、5月の地方選が「ウェールズにとって転換点となった」と述べ、「ウェストミンスター(ロンドンにあるイングランド議会)のモデルはもはや機能していないという認識が広まっている」と述べていた。

5月の地方選後、英労働党以外の政党から初めてウェールズ首相に任命されたアプ・ヨーワース氏は、自分たちプライド・カムリ政権の最初の任期で、ウェールズ独立に関する住民投票を推進することはないと発言。この問題について「国全体での議論」を主導したいとしている。

SNP党首のスウィニー首相は14日朝、ラジオ・ウェールズに対し、「連合王国にとって重要な転換点」に差し掛かっており、事態は「永遠に変わってしまった」と述べた。

「スコットランド、ウェールズ、アイルランドの人々には、自己決定権がある」とスウィニー氏は言い、各国の住民は「自分の未来を決定する権利を持っている」と強調した。

「私たちの今の状況がいかに重要か、それを認識することが、今日の根本的な議題だ」とも、スウィニー氏は述べた。

シン・フェイン党の副党首で、北アイルランド自治政府を率いるオニール首相は、ロンドン・ウェストミンスターの政界がこれまで決してアイルランド島全体の住民の最善の利益を守ってこなかったと指摘した。

「しかし、この島々の全域で変化が起きており、私たちは憲政上の変化が訪れる時のために備えなくてはならない」とも、オニール氏は述べた。

「この島々で初めて、ナショナリストの自治政府首相が3人選ばれた。そのことは、ウェストミンスターが北(アイルランド)、スコットランド、ウェールズの人々のために機能していないと、住民がそう認識していることを、はっきりと示した」

記者会見場で、ウェールズのアプ・ヨーワース首相がテーブルの上の書類に署名し、その後ろにオニール、マクドナルド、スウィニー各氏が立っている

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画像説明, 各自治政府の首脳は、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド各国が「それぞれの方法で、それぞれの時期に」自分たちの未来を決めるという合意文書に署名した

シン・フェインのマクドナルド党首はBBCウェールズに対し、現在の状況は「歴史を作る時」にほかならないと言い、ウェールズ、スコットランド、アイルランドが自己決定権を獲得するまでの道のりはそれぞれ異なると話した。

「もちろん、各国にはそれぞれ別々の物語がある。それでも私たちは一つ、非常に重要な点を共有している。つまり、アイルランドの未来はアイルランド国民が、スコットランドの未来はスコットランド国民が、そしてウェールズの未来はウェールズ国民が決定すべきだという、揺るぎない信念を、私たちは共有している」と、マクドナルド氏は強調した。

ロンドン・ウェストミンスターのイギリス議会下院では9日、スコットランド独立問題が再び取り上げられたばかり。この日の首相質疑でアンディ・バーナム首相は、国民の明確な支持があれば、スコットランドで2度目の住民投票があり得るとの考えをうかがわせた。

バーナム氏はスコットランドでの状況を、北アイルランドでの国境に関する住民投票の条件になぞらえ、1998年のベルファスト合意では、住民投票は「国内で明確な合意が得られ、世論が変化し、住民投票を検討せざるを得ない状況になった場合に、北アイルランド担当大臣によって検討される」と明記されていると説明した。

そのうえで、「スコットランドでも全く同じ状況だと言えるだろう」と、バーナム氏は付け加えた。

スウィニー氏は、イギリス政府のこうした態度の軟化を歓迎したものの、バーナム氏はその後、スコットランドの独立を問う住民投票は依然として「対象外」だと明言した。

2014年9月に行われた前回の住民投票では、スコットランドは55%対45%でイギリスにとどまることを選択した。

スーツ姿のバーナム氏が赤いファイルを持って玄関から出てくるところ

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画像説明, イギリス政府のバーナム首相は来月、自治政府の首相らと会談する予定だ

スコットランドや北アイルランドと異なり、ウェールズ自治政府は、独立の是非を問う住民投票を推進しようとしていない。

アプ・ヨーワース氏の政権は、ウェールズ独立に向けた将来の計画の「基礎を築く」ための国家委員会を設置する意向で、自治政府の閣僚らは、警察や少年司法といった分野での権限移譲を求めている。バーナム氏は、この考えに「前向きだ」と述べている。

一方、北アイルランドでは、ナショナリスト政党とユニオニスト政党(親英派)が連立で自治政府を運営し、それぞれから選ばれた第一大臣(自治政府首相)と副第一大臣が、同一の権限と責任を有する。現在、副第一大臣はユニオニスト政党・民主統一党(DUP)のエマ・リトル=ペンジェリー氏が務めている。

リトル=ペンジェリー氏は13日、オニール自治政府首相が14日の会談に出席することを批判した。

今回の3者協議では、イギリス政府から地方自治体への資金提供の方法についても議論するとみられていた。

ウェールズの閣僚らは、従来の方式による財政配分がウェールズにとって不利だとして、長年にわたり改革を求めてきた。イングランドでの支出と3自治体へ割り当てる財政資金資を均衡させるため、配分方式を立案した1970年代の労働党閣僚の名をとって「バーネット方式」と呼ばれる仕組みは、人口規模などに応じるもので、スコットランドに有利になるとの見方もある。

バーナム氏は英首相に就任前、このバーネット方式の改革の必要性を訴えていたが、最近のウェールズ訪問では方式の改革に消極的な姿勢を示した。

連合王国の3カ国の首相らは来月にも、バーナム氏と会談する予定だ。

イギリス政府は、「首相は連合王国を構成する4カ国すべてで変革を実現することに尽力している。そして、連合を強く信じている」と述べた。

ウェールズ議会の野党・保守党のダレン・ミラー党首は、「第一大臣は独立問題に固執するのではなく、ウェールズの国民保健サービス(NHS)を襲っている危機や、ウェールズの学校における教育水準の低下に対処することに注力すべきだ」と述べた。

リフォームUK・ウェールズは、「プライド・カムリはシン・フェイン党やスコットランド分離主義者と会合することで、その本性をあらわにした」と述べた。