ドイツの空港で見つかった爆発物搭載のドローン、「背後にロシア」と独政府

画像提供, Getty Images
ジェイムズ・グレゴリー、ジェシカ・パーカー・ベルリン特派員
ドイツは1日、東部ザクセン州の空港で先月、爆発物を搭載したドローンが見つかった問題について、ロシアに責任があると発表した。
ザクセン州のライプツィヒ・ハレ空港では先月4日深夜、空港職員がウクライナの貨物機の近くで爆発物を搭載したドローンを発見した。
起爆装置に不具合があったとみられ、爆発には至らなかった。捜査当局はまた、2機目のドローンが近くの貨物機に衝突した可能性があるとみている。この10日後には、空港付近で3機目のドローンが発見されたと報じられた。
ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は、ライプツィヒ空港への攻撃について、「ヨーロッパで確立されているロシアのハイブリッド作戦のパターン」に沿ったものだと指摘。ドイツが再び標的にされ得るとの見方を示した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は1日、ライプツィヒ空港でのドローン攻撃未遂事件について、ロシア政府を責めるための証拠をドイツがねつ造したと非難した。
プーチン氏はねつ造の証拠を示さなかった。
一方、在ベルリン・ロシア大使館は、ロシアに責任があるとの主張は「ばかげている」と反論した。
ドブリント独内相は、ドローンに使用された装置の調査と、情報機関の分析結果から、ロシアが関与していたことが証明されたと述べた。
ドブリント氏と共にベルリンでの記者会見に臨んだヨハン・ヴァーデフール外相は、西部ボンにあるロシア領事館の閉鎖を命じる方針を発表した。また、多くの観測筋からスパイ活動やロシアのプロパガンダ拡散に利用されていると指摘されてきたベルリンの文化関連施設「ロシア・ハウス」についても、契約を打ち切るとした。
さらに、ロシア国民に対する入国審査を厳格化するとともに、ロシアの「影の艦隊」への圧力を強めるとも誓った。「影の艦隊」とは、2022年2月にウクライナ侵攻を開始したロシアの原油輸出に対する西側諸国の制裁を措置を回避するための、老朽化したタンカーで構成されたロシアのタンカー・ネットワークを指す。
ヴァーデフール外相は、ロシアのセルゲイ・ネチャエフ駐独大使を呼び出したと明らかにした。この発表から間もなく、ネチャエフ大使が独外務省に到着する姿が目撃された。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ロシア政府はドイツの措置に対して「そっくりそのまま」の措置で対応すると述べた。一方、ロシア大使館は、ドイツの措置を「ロシアとドイツの関係における前例のない事態激化」だと形容した。
ザハロワ氏は、ドイツがウクライナに軍事的・経済的支援を行っていることに言及し、「独政府はテロを後援している」と独DPA通信に述べた。
両国をめぐっては、ドイツが「ロシア・ハウス」の閉鎖に踏み切れば、ロシア・モスクワにあるドイツの文化関連施設「ゲーテ・インスティトゥート」も活動停止を余儀なくされる可能性があるとの見方が出ている。
安全保障の専門家たちは、爆発物を搭載したドローンについて、ロシアが関与している可能性があるとみてきたが、ロシア側は一貫して関与を否定している。
独東部にあるライプツィヒ・ハレ空港は、独軍および北大西洋条約機構(NATO) 加盟国が軍需品を輸送するために使用している。また、ウクライナの航空貨物の大部分を担うアントノフ航空の拠点にもなっている。
西側の反応
NATOのマルク・ルッテ事務総長は、NATOは「ドイツと完全に連帯している」と表明した。
「証拠は明らかだ。これを受けてドイツが発表した措置を、私は歓迎する」と、ルッテ氏はソーシャルメディアに投稿した。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「我々はロシアの侵略に立ち向かう決意で結束している。我々の自由と安全を損なおうとする者は誰であれ抑止する」と投稿した。
さらに、欧州連合(EU)がロシアに対する追加制裁を準備していることも明らかにした。
ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、ロシアが「(欧州)地域全体の緊張を激化させている」と述べた。ポーランドの検察当局は、8月31日にドローン部品を製造する工場で発生した火災をめぐり、外国の情報機関の関与の可能性について調べている。
こうした中、イギリスのアンディ・バーナム首相は、「我々の結束した決意と、ウクライナを支援する意思を揺るがそうとするロシアの試みは無駄であり、失敗に終わる運命にある」と述べた。
ハイブリッド戦争の「日常的な標的」に
ドイツはこの1年間に、空港や軍事施設、産業施設におけるドローンの目撃情報を報告した複数のNATO加盟国の一つ。
独政府はこれまで、ライプツィヒ空港でのドローン事案の背景について、「外国勢力」が関与しているかもしれないと述べる以外、口を閉ざしてきた。
米メディアはすでに、米当局がこの事案をロシアと関連付けていると報じていた。
独政府は、同国がハイブリッド戦争の「日常的な標的」になっていると警告している。フリードリヒ・メルツ首相は先週、ドイツに敵対的な行為を行った者には「代償を払わせる」と警告した。
こうした脅威に対抗するため、独政府は情報機関の権限強化を検討している。同国の情報機関は長年、比較的権限が弱いと批判されてきた。
ドイツはウクライナの主要な支援国の一つで、メルツ首相はウクライナ政府への支持を率直に表明している。
しかし、メルツ氏が所属するキリスト教民主同盟(CDU)の国会議員は、これまでにロシアに対して講じられた措置は「必要な水準にはほど遠い」ものだったとし、ロシアの大使を呼び出したところで、ロシア政府は「ただ笑っているだけだ」と指摘した。
ローデリヒ・キーゼヴェッター議員は、「主導国を自称するのであれば、自己抑制や宥和(ゆうわ)ではなく、勇気と決意を示すべきだ」と述べた。
ドイツの主要物流拠点に駐機するウクライナの貨物機が、なぜロシアの標的になり得るのかは想像に難くない。
ただ、今回の発表はメルツ政権にとって微妙な時期に行われた。
東部ザクセン・アンハルト州で行われる重要な州議会選挙では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、初めて州レベルで権力を握る可能性がある。
独最大野党のAfDは、ウクライナへの支援を停止し、ロシアとの関係を再構築することを求めている。
別の動きとして、ドイツ警察は1日、東部ブランデンブルク州の変電所で、手製の爆発物と発火装置が発見された事案について捜査を進めていると発表した。
この事案では、送電線が損傷し、一時的な停電が発生した。これらの装置を設置した人物の特定には至っていない。















