トランプ氏、特使のパキスタン派遣を中止 イランとの協議めぐり

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ドナルド・トランプ米大統領は25日、イランとの戦争をめぐる協議のために米政府高官をパキスタンへ派遣する予定を中止した。イランの代表団がパキスタンの首都イスラマバードを離れた直後に明らかにした。
トランプ氏は、スティーヴ・ウィトコフ特使と娘の夫のジャレッド・クシュナー氏が交渉に向かっても、「あまりにも多くの時間」を無駄にすることになると述べた。もしイラン側が協議を望むのなら、「電話してくればいいだけ」だとも付け加えた。
これに先立ち、イランのアッバス・アラグチ外相は、交渉を仲介するパキスタンと協議し、戦争終結に向けたイランの立場を共有したと述べた。一方で、アメリカが「本当に外交に真剣なのか」どうかは、まだ分からないとも話した。
ホワイトハウスは25日、特使派遣を発表した際、イランは「協議を望んでいる」としていたが、イラン側は直接会談の予定はないと主張していた。
トランプ氏は26日、停戦は維持されるとしつつ、対面での協議が再び行われるとの期待は薄れているとした。
派遣中止が戦争再開を意味するのかと問われ、トランプ氏はニュースサイト「アクシオス」に対し、「いや、そういう意味ではない。こちらはそれについて、まだ考えていない」と答えた。
トランプ氏は25日に特使派遣中止を発表した際、イラン指導部内部には「激しい内紛と混乱」があり、「誰が指導しているのか、彼ら自身も分かっていない」と話した。
トランプ氏はそのほか、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「こちらはすべてのカードを持っているが、彼らは何も持っていない! 話したいなら、電話してくればいいだけだ!!!」と投稿した。
ホワイトハウスは25日、協議が成功した場合に備え、J・D・ヴァンス米副大統領が「待機していた」と明らかにした。ヴァンス氏は今月11日から12日にかけてパキスタンで行われた最初の協議で米代表団を率いてたものの、当初予定された今回の派遣団に含まれていなかったため、そもそも大きな進展は見込まれていなかった可能性がある。
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は以前、アメリカとの交渉にイランは引き続き前向きだとしている。ただ、「約束違反、封鎖、脅迫が、真の交渉の主な障害になっている」との見解も示している。
トランプ氏は、協議継続のため、22日に期限を迎える予定だった停戦を延長していたものの、その後の外交作業は停滞している。
両国は重要な海上輸送路のホルムズ海峡をめぐって、対立している。アメリカとイスラエルが2月末にイラン攻撃を開始したことを受け、イランは同海峡での通航を制限している。また、イランの核開発をめぐる対立も続いている。
アメリカは2月末以来、ホルムズ海峡における海軍の展開を強化し、イランの石油輸出を阻止している。平時は世界の石油供給の約2割がホルムズ海峡を通過している。

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イランのアラグチ外相はソーシャルメディア「X」への投稿で、パキスタンのほか、オマーンとロシアの首都も訪問するとしたうえで、パキスタン訪問は「実りあるものだった」と書いた。また、「イランに対する戦争を恒久的に終わらせるため、実行可能な枠組みについてイランの立場を共有した」としつつ、「アメリカが本当に外交に真剣なのか、まだ目にできていない」とも書いた。
パキスタンのシェバズ・シャリフ首相は、アラグチ外相と「現在の地域情勢について、非常に温かく、友好的な意見交換を行った」と述べた。
イラン国営メディアによると、アラグチ外相はオマーン訪問後、再びパキスタン・イスラマバードへ戻る見通しだという。
イランの核兵器保有にアメリカが反対していることが、今回の紛争のきっかけとして挙げられている。アメリカとイスラエルは、イランが核爆弾の開発を目指していると疑っている。
これに対しイランは、原子力開発はエネルギー生産が目的だと、一貫して主張している。実際には兵器級に近いレベルまでウラン濃縮を行っているが、その立場を崩していない。
別の動きとして、レバノンの国営通信によると、25日にはイスラエルによるレバノン南部への空爆で、少なくとも4人が殺害された。イスラエル軍は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルに向けてロケット弾を発射したとしている。ヒスボラはイランと協力関係にある。
イスラエルとヒズボラの間では停戦が成立しているものの、双方はここ数週間、攻撃の応酬を続け、相手が停戦合意に違反したと非難を繰り返してきた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の事務所は25日、軍に対し「レバノンのヒズボラの標的を徹底的に攻撃する」よう命じたとする声明を発表した。








