子どものSNS利用めぐる米訴訟、メタが2.8兆円支払いで和解

画像提供, Reuters
イムラン・ラフマン=ジョーンズ・テクノロジー記者、カリ・ヘイズ・テクノロジー記者
米メタは26日、自社のフェイスブックとインスタグラムが子どもに害を与えたとしてアメリカの複数の州・地域が起こしていた訴訟をめぐり、計180億ドル(約2兆8700億円)の和解金を支払って和解することで合意した。
カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所がこの日承認した和解案では、メタはアメリカの48州とコロンビア特別区(米首都ワシントン)、およびプエルトリコ、米領サモア、北マリアナ諸島の3地域に和解金を支払う。同社が子どもの安全確保に関する訴訟で支払う金額としては最大規模となる。
メタはまた、各州が要求していた、プラットフォーム上で子どもの安全性を高めるためのさまざまな改革を実施する。これには、デフォルト(初期設定)で1日の利用時間や夜間利用を制限する機能などが含まれる。
カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、「これは、これまで子どもたちに害を与えてきた業界を浄化する絶好の機会だ」と述べた。
メタは和解の一環として不正行為を否定し、合意した和解金は「10年間にわたって毎年分割で支払われる」と発表した。
和解を承認したイヴォーン・ゴンザレス・ロジャーズ判事は、「金銭的な救済を提供するだけでなく、問題となっているソーシャルメディア・プラットフォームの悪影響に有意義に対処しようとする行動の変化を促すという、公正かつ合理的で包括的かつ誠実なアプローチを反映した」と説明した。
アメリカでは2023年、メタが連邦および州の児童プライバシー法に多数違反したとして、29州が訴えを起こした。その後、訴訟に参加する州や地域は拡大したが、今回の和解に参加しなかった州もある。
和解に加わらなかったニューメキシコ州では、メタは合計10億ドル近い罰金の支払いを命じられている。同州サンタフェの裁判所は今月6日の判決の際、メタのプラットフォームが子どもに及ぼす害は、大気汚染に匹敵する「公衆の迷惑行為」だと指摘した。
1日2時間の利用制限や、授業時間中の通知オフ機能
今回の訴訟の審理は先週、米カリフォルニア州オークランドの裁判所で始まったが、わずか5日間しか続かなかった。
同州司法当局の主任メーガン・オニール氏は、メタは11歳と12歳の子どもたち「数百万人」がインスタグラムを利用していると知りながら、「その子らを遠ざける対策をほぼ何も取らなかった」と主張した。
この陪審裁判で同州当局は、メタから提供された数百万点の文書に含まれる情報を大きく取り入れる形で陳述を構成。それらの文書には、メタの社内調査、従業員のメール、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も出てくるチャットログなどが含まれていた。
社内調査の文書の一つには、若者とインスタグラムの関係について、「ティーンは使用に関し、依存者として話をする」と書かれていた。同州当局は、メタはこうした認識にもかかわらず、若いユーザーをターゲットにしていたと主張した。
同州のボンタ司法長官は26日、「メタにとって裁判はうまくいかなかった」と述べた。
一方のメタはこの 短い裁判の中で、同社が長年にわたり、プラットフォームが最年少のユーザーにとってより安全なものになるよう多大な努力を重ね、テストや研究にリソースを投入し、新機能の開発に取り組んできたと主張した。
インスタグラムの責任者アダム・モッセリ氏は25日、1時間にわたる証言の中で、「私たちは常に10代の若者の安全対策に取り組んでいる」と語った。
しかし、モッセリ氏が陪審員の前に再び現れる前に訴訟は和解に至り、裁判は休廷となった。
モッセリ氏の前には、メタにリサーチャーとして勤めていたジョージ・ヴォリチェンコ氏が弁護士らと共に出廷し、自身が関わった安全に関する研究をめぐる社内文書について説明した
ヴォリチェンコ氏は、同社に在籍していた2022年、自分が所属していたチームが新しい安全機能のテストや実装をより自由に行えるように、なぜもっと多くの裁量が与えられなかったのか理解に苦しんだと語った。
その一つが、夜間に10代のユーザーへの通知をミュートする「クワイエットモード」だった。ヴォリチェンコ氏のチームは、メタがこの機能をデフォルトで有効にすれば、より広く利用されるだろうと考えていた。
しかし上司からは「採用率が低いことをあまり心配する必要はない。なぜなら、このチームは、今後起こりうる訴訟から会社を守るために存在しているからだ」と言われたと、ヴォリチェンコ氏は証言した。
26日の合意により、10代のユーザーアカウントには今後、午前0時から6時までの通知を止める「ナイト(夜間)モード」機能がデフォルトで導入される。この設定は、親または保護者のみがオフにできるようになっている。
メタのC・J・マハニー最高法務責任者(CLO)は、「今回合意した枠組みにより、保護者は子どもたちが当社のプラットフォームにアクセスする方法を簡単に管理できるようになる」と述べた。
そのほか、合意の一環として10代のユーザー向けに以下の機能が実装される。
- インスタグラムとフェイスブックの利用時間の上限がデフォルトで1日合計2時間となる。この制限は、親の許可を得なければ解除できない
- 10代のユーザーのプロフィールや、彼らが交流するユーザーのプロフィール上で「いいね」が非表示になる
- 平日の午前8時から午後3時までの間、通知をミュートする「スクール(学校)モード」
- 10代のユーザーが15分間連続使用した時点で通知を表示し、さらに累計使用時間が60分と90分に達した時点でも通知を表示する機能
- アルゴリズムに左右されないフィードを選択できる機能
- 動画やコンテンツの自動再生をオフにする機能
- 10代のユーザーは、画像などに極端な化粧加工を施すフィルターを利用できなくなる
1日の利用時間制限については、TikTokやスナップチャット、ユーチューブなど他のSNSプラットフォームが若年ユーザーに対する制限導入に同意すれば、全体で1時間に短縮されることになる。
ボンタ長官は、メタとの和解は他の企業が後に続くべき「良い青写真」だと述べ、他のSNS企業にも同様の対応を促した。
一方で、他社がこれに応じなかった場合、カリフォルニア州は今後、ソーシャルメディア業界全体に変化をもたらすことに「より重点を置く」だろうと示唆した。
メタも、TikTokとユーチューブに対し、若いユーザーのために同様の安全対策を導入すべきだと述べた。
マハニーCLOは、「我々が新たに導入した時間制限に関する取り組み、ナイトモード機能、そして授業時間中の利用制限は、業界全体にとって正しい方向性を示すものだ。この枠組みが機能するためには、すべての同業他社がこれに追随する必要がある」と述べた。
BBCはTikTokとユーチューブにコメントを求めている。
米首都ワシントンのブライアン・シュワルブ司法長官は、メタとの合意を「公衆衛生における画期的な勝利」と評価。「メタが導入を義務付けられている安全機能は、若者のインスタグラムやフェイスブックの利用方法を根本的かつ即座に変えることになるだろう」と付け加えた。















