米アップル、SiriのAI機能刷新を発表 クックCEOの退任を前に

黒っぽい服を着て黒縁のめがねをかけたクック氏が、右手を顔の横に寄せて斜め前方を見ている

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画像説明, 米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)
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米アップルは8日、大幅に刷新したデジタル支援機能「Siri(シリ)AI」を発表した。従来より優れたAI(人工知能)体験を、ユーザーに提供するとしている。

アップルの年次イベント「ワールドワイド・デヴェロッパーズ・カンファレンス(WWDC)」で発表した。同社はまた、自社製品を使う子どもたちの安全を高めるとして、信頼性と安全性の機能に関する変更も明らかにした。

今年のWWDCは、今年9月に退任予定のティム・クック最高経営責任者(CEO)にとって、CEOとしては最後のもの。クック氏は15年にわたり同社を率いた。

クック氏の後任には、ジョン・ターナス氏が就任する。ターナス氏はこれまでのWWDCで重要な役割を果たしてきたが、この日午前の目玉の基調講演には登場しなかった。

SiriのAI刷新

アップルがSiri AIを導入するのは、他のテクノロジー大手に後れを取っているとの批判を受けてのことだ。

新バージョンのSiriは、アップルの製品やアプリと連携して動く。また、米企業のオープンAIやアンソロピックがそれぞれのAI支援機能向けに提供しているアプリに似た、新しいアプリを搭載する。

アップルはSiri AIについて、ユーザーとアプリとの過去のやり取りや画像の理解、幅広い一般知識を活用し、現行バージョンよりも高性能で会話のしやすいアシスタントとして機能すると約束した。

ソフトウェア・エンジニアリング担当のクレイグ・フェデリギ上級副社長は、「サービスを提供する相手であるはずの人たちを考慮しない、AIのためのAI」に対し、異例の公の場での批判を展開した。

「真に役立つAIは、ユーザーとそのニーズを中心に据えたものでなくてはならない。私たちはそう信じている」とフェデリギ氏は述べ、新しいSiri AI体験は「あらゆる段階」でプライバシーを念頭に置いて設計されたものだと説明した。

業界調査会社FDM CCSインサイトのベン・ウッド主任アナリストは、「アップルはAIにおける課題に対処する必要があり、WWDCはその答えの一部を示した」と指摘。「同社は今後、プライバシーを重視し、統合を最優先とする自分たちのアプローチが、単に競合他社と同レベルに届くのではなく、毎日の体験の有意義な向上につながると証明しなくてはならない」と述べた。

Siri AIのベータ版は、今年後半に英語設定の対応端末で利用可能となる予定。ただし、欧州連合(EU)域内では、規制をめぐる問題があるため提供されない。

信頼性と安全性

アップルはまた、iOS 27のリリースに伴う、信頼性と安全性に関する取り組みの変更点についても概要を明らかにした。

それによると、子どもが誰と会話できるかを保護者が管理する「アスク」機能を拡充し、知らない人と会話する前に保護者の承認が必要になるようにする。

さらに、性的または暴力的な内容を含む可能性があるとシステムが判断した画像が特定の子どもの端末に送信された場合、自動的に検閲を行うようにする。

アップルは、子どもの保護への取り組みが不十分だとして、子どもの安全を推進する一部の団体から批判されている。この日の朝も、WWDCの基調講演を前に、少人数の抗議者らが会場の前に集まり、同社のアップストアでの子どもの安全への取り組みを批判した。

一方、イギリスでもこの日、キア・スターマー首相がロンドンでのテクノロジー関連のイベントで、アップルやグーグルなどのテック企業に対し、スマートフォンなどで18歳未満がヌード画像にアクセスできないようにするよう求めていくと述べた。

クックCEO最後の基調講演

今回のWWDCは、クックCEOの最後の登壇ということでも注目された。

クック氏は、アップル共同創業者のスティーヴ・ジョブス氏が死去の直前に健康上の理由で退任したのを受け、2011年にCEOを継承。以来15年間、その職を務めてきた。

この日、会場にいたアップル社員や開発者ら数千人は、総立ちで拍手しながらクック氏を迎えた。

クック氏は、「これほど多くのiPhoneを見たのは初めてだ!」と冗談を飛ばした。

別れを告げる際には、感極まった様子も。「みなさんの物語や、みなさんが世界中の多くの人々の生活をどれほど豊かにしているかを聞くのが大好きだった」とデベロッパーらに語りかけた。そして、アップルのスタッフにも感謝を述べた。

「みなさんの想像力と創意工夫は、この15年間、私を鼓舞し続けてくれた。この旅路をみなさんとともに歩めたことを、心から感謝している」

後任のターナス氏は、メインの基調講演には登場しなかった。一方、Siri AIに関するメディア関係者への説明では、最前列でクック氏の隣に座った。