中国、アメリカの対イラン制裁は「違法」 貿易相手国に「対象拡大」で反発

海上に3隻の船舶が浮かんでいる

画像提供, Reuters

画像説明, ホルムズ海峡の船舶(25日、イラン南部バンダル・アッバスから撮影)
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アメリカが、イランとその貿易相手国に対する新たな経済制裁を発表したことを受け、貿易相手国の中国は25日、自国の利益を守ると表明した。

中国外務省の林剣報道官は、中国は「違法な一方的制裁」に断固反対し、自国の権利を守るために「あらゆる必要な措置」を講じると述べた。

これは、アメリカのスコット・ベッセント財務長官の24日の発言を受けたもの。ベッセント氏は、新たな対イラン制裁を発表し、金融面でイランと連携する国は孤立することになると警告した。

中国はイラン産原油の最大の輸入国だ。しかし、アメリカがイランの港湾を封鎖している影響で、その取引量は減少している。

林報道官は、「中国とイランの協力は常に国際法の枠組みの中で行われており、干渉や妨害を受けるべきではない」と述べた。

ベッセント氏は、イランに対する新たな経済制裁を「史上最大の金融攻勢」と呼び、イランとの関係を断つことを拒否した銀行や企業も、イランとともに孤立することになると警告した。

ベッセント氏はさらに、特定の国名は挙げなかったが、ドナルド・トランプ米大統領が世界の指導者らに電話をかけ、「(イランの)政権との関係を断つよう具体的な要請をする」予定だと述べた。

一方で、中国の銀行について聞かれると、「アメリカの制裁の及ばない者はいない」ことを明確にしておくと答えた。

新たな対イラン制裁は、トランプ氏と中国の習近平国家主席の会談を来月に控える中で発表された。

米政府は、中国政府の報復を警戒しているとみられる。中国は、多くのハイテク製品の製造に不可欠なレアアース(希土類)やそのほかの重要鉱物の供給を、世界でほぼ独占している。

中国政府は、アメリカとのこれまでの貿易交渉の一環として、すでにレアアースの輸出規制を強化している。

中国が対イラン制裁について反応するのに先立ち、イランのアリ・マダニザデ経済財務相は国営テレビで、同国が「こうした計画を長い間待っていた」と述べた。

マダニザデ氏は、「(イラン)政府にはこれらの事態に対処する準備が以前からあり、2カ年計画もある」と主張。「私たちには独自の手段があり、どう対応すべきかも分かっている」とした。

また、今回の制裁は、アメリカにとっての新たな敗北に終わるとした。

アメリカは、新たな制裁措置「経済的追放作戦」を、第2次世界大戦中のノルマンディー上陸作戦(Dデー)になぞらえ「経済的Dデー」と呼んでいる。

アメリカ・イスラエルとイランの戦争は、開戦から間もなく6カ月を迎える。

この紛争によって世界の原油価格は高騰している。イランは世界経済にとって重要な海上輸送路であるホルムズ海峡を事実上封鎖し、輸出を妨げている。アメリカもまた、独自の海上封鎖によって船舶の通航を遅らせている。

外交によって紛争を終結させようとする直近の試みは失敗に終わっている。アメリカとイランは6月に、「最大」60日以内に最終合意に向けて交渉し、合意に達することを盛り込んだ、戦争終結に向けた「了解覚書」(MOU)に署名したが、解決の兆しが見えないまま、その期限は先週切れた。

新たな制裁の発表に際し、ベッセント財務長官は、アメリカは「もはやイランの脅威を管理してはいない。それを終わらせている」と主張した。

こうした中、イギリスのジョン・ヒーリー財務相は、英政府は「外交的解決を確保するためのアメリカの取り組み」を支持し、「圧力を強める努力を歓迎する」と述べた。

イランはすでにアメリカの厳しい制裁を受けているが、ベッセント氏は、今回の措置はさらに踏み込んだものだとしている。

同氏によると、イランが制裁を回避しながらの石油取引で利用している資金ルート、仲介者、ネットワークを米財務省が特定し、60近い団体、個人、船舶に対しても制裁を科したという。

アナリストたちは、中国が反応を示す前から、今回の制裁の効果に疑問を呈している。

英調査会社キャピタル・エコノミクスのデイヴィッド・オクスリー気候・商品担当チーフエコノミストはBBCに対し、「アメリカの新たな海上封鎖によってイランの石油輸出がすでに圧迫されている状況では、『経済的Dデー』がイランのエネルギー収入に直接与える影響は、名ばかりのものとなるだろう」と述べた。

また、「この新たな措置がイランのエネルギーの流れに直接与える影響は、短期的には限定的だとみている」とした。

オクスリー氏は理由の一つとして、イランの石油の約9割が中国に輸出されていることを指摘。「(中国は)過去にアメリカの制裁を認めておらず、今回も従う可能性は低い」と述べた。

シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」の中東・北アフリカプログラムのアリ・ヴァエズ副ディレクターは、「中国は多くの場合、一方的な制裁には反対の立場だ。多国間制裁や国際的な制裁には従うだろうが、アメリカが単独で科す制裁については、常に正当性がないとみなしている」と指摘した。

また、パキスタン、トルコ、イラクなどイランの近隣諸国は、アメリカとの良好な関係を維持したいと考えているものの、「イランとの関係を断つ余裕は実際のところない」と、ヴァエズ氏はBBCラジオ4の番組「トゥデイ」で語った。

同氏は、イラン政府に経済的圧力をかけても「効果はない」と指摘。その理由を、イラン政権は「あらゆる痛みにも耐え」、その負担を国民に転嫁することをいとわないからだと説明した。

アメリカが発表した新たな対イラン制裁の影響を受ける可能性があるイランの貿易相手国には、インドやロシアも含まれるが、いずれも反応を示していない。