AIで制作の楽曲、音楽チャートから除外 オーストラリア

シドニー・ハーバー・ブリッジの前で撮影されたARIA賞トロフィー

画像提供, ARIA

画像説明, オーストラリアの音楽チャートでは今後、「実質的に人間によって作られた」楽曲だけがランクインできる
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サイモン・アトキンソン

オーストラリア・レコード産業協会(ARIA)は25日、人工知能(AI)によって大部分または全部が制作された楽曲を、同国の音楽チャートから除外すると発表した。

これにより、今週からは「実質的に人間によって作られた作品」しかチャートの対象にならない。

ARIAは、この新しい規約が「芸術における人間性を促進する」のに役立つだろうと述べた。

この措置は、オーストラリアのDJジョシュ・ファワズ氏が制作した、米歌手マドンナ氏の「ライク・ア・プレイヤー」のカバー曲をめぐる論争を受けたもの。同曲は最近、ARIAのダンス・シングル・チャートで1位を獲得したほか、国内総合チャートでも2位にランクインした。

この曲は商業ラジオ局のプレイリストの定番となった。また、音楽ストリーミング大手スポティファイだけでも、4800万回以上ストリーミング再生されている。

ファワズ氏は批判を受け、楽曲のクレジットに生成AIと明記した。

ARIAは、オーストラリアのアーティストたちが「史上最も混雑した市場」で注目を集めようと競い合っていると指摘。「人間の芸術性を含まない、AI生成音楽の成功を促進したり称賛したりすることには関心がない」との姿勢を表明した。

新規約では、チャートの対象曲は、AIによる制作支援は引き続き可能だが、作詞、作曲、リードボーカル、主要楽器の演奏は人間が行わなければならない。

AIは、楽曲のマスタリングのほか、たとえばドラムマシンやオートチューンの使用にも引き続き活用できる。

今年初めにはスウェーデンで、AIによって制作された楽曲が音楽チャートから除外された。

7月には国際レコード産業連盟(IFPI)が、中南米、中東、アフリカ、東南アジアで、公式チャートで使用するAIガイドラインを発表した。

IFPIの方針に基づいた改訂版の規約では、「ストリーミングやチャートを操作する懸念」を生じさせる楽曲も除外されている。

ARIAのアナベル・ハード最高経営責任者(CEO)は、「これらの変更は、急速に発展しているこの分野において、ダイナミックな姿勢を維持し、芸術の人間的側面を促進していくという私たちの意図を反映したものだ」と述べた。

「アーティストは既に作品制作にAIツールを活用しており、チャートもそれに対応できるよう進化していくべきだ。しかし、アーティストの録音を基に構築されたサービスによって、音楽が大量に生成されるとなると話は別だ」

ハードCEOはさらに、「無許可のAI出力に報酬を与えるようなチャートは、私たちが代表する録音音楽の根幹を損なうことになるだろう」と付け加えた。

アーティストは今後、楽曲をチャート選考に提出する際に、AIの使用を申告する必要がある。

ARIAは、後になって楽曲の大部分がAIによって生成されたものであることが判明した場合、チャート順位をさかのぼって調整する可能性があると指摘。さらに、もしその楽曲がチャート首位になった場合には、首位獲得に対して授与された賞の返還を求める可能性があると述べた。

また、アーティストとその代理人は、除外の決定に対して異議を申し立てることができる。

この動きを支持するアーティストの中には、オーストラリアのエレクトロニック・バンド「Peking Duk(ぺキン・ダック)」も含まれている。

同バンドは7月、2014年発表のヒット曲「High」のAIアシストバージョンをインスタグラムで公開。「オーストラリアのラジオで流してもらうために、AIを使って自分の曲を再録音した」という風刺のキャプションを添えた。

バンドメンバーのアダム・ハイド氏は、豪民放チャンネル9の番組「トゥデイ」で、AIが生成する音楽は「人生から人間的な経験を奪っている」と語った。

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は7月、同国のクリエイターをAIから「可能な限り強力に保護」すると約束した。

アルバニージー首相は、作家や音楽家が自身の作品について、AIの学習に使用されるかや、どのように使用されるかを選択できるようにすると約束。クリエイターがその管理権を失い、使用料が支払われないのは「窃盗」にあたると述べた。