イスラエル高官、イスラエル軍のガザ撤退にはハマスの「真の武装解除」が条件と

白い車両の荷台に、銃を手にしたハマス戦闘員が5人が乗っている。戦闘員は迷彩服を着て、黒い布で顔を覆っている

画像提供, Reuters

画像説明, トランプ米大統領は、パレスチナ・ガザ地区でのハマスの完全武装解除に関する合意について、武装解除の最初の段階で、暫定当局に武器が引き渡されることになるとしている。画像は、ハマスの戦闘員(2012年11月22日、ガザ北部)
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イスラエル政府の高官は7月31日、パレスチナ・ガザ地区の武装組織ハマスが「真の武装解除」をしない限り、イスラエル部隊はガザから撤退しないと述べた。ガザをめぐってはドナルド・トランプ米大統領が前日に、自分の主導でガザでの和平計画を遂行する「平和評議会」が、ガザのハマスおよびその他の武装組織の「完全武装解除」に関する合意に達したとしていた。

一方、ハマスは、重火器の引き渡しについて、イスラエルが「あらゆる形の侵略」を終わらせ、ガザから部隊を撤退させることが条件だとしている。

前日に発表された「完全武装解除」に関する合意では、「武装解除が完了次第」イスラエルがガザから撤退することに加え、武装解除の最初の段階では、ハマスが運営するガザの警察が、暫定当局に武器を引き渡すことになっている。その後、重火器の「廃棄プロセス」が行われる。これにはトンネルや武器庫の閉鎖、そしてこれらの施設を運用している戦闘員の活動停止が含まれる。

トランプ米大統領は31日、イスラエルは提案された合意内容に「非常に満足している」と強調し、「中東にとって大きな一歩だ」と述べた。しかし、イスラエルの極右政治家のイタマル・ベン=グヴィル国家安全保障相は、この草案は「受け入れられない」と一蹴した。

武装解除をめぐる案は、ガザでの戦争終結を目指す、アメリカ仲介のガザ停戦計画の第2段階の一部だ。

昨年9月に発表された20項目からなる計画には、合意の履行を監督する平和評議会の設置や、ハマスの武装解除、イスラエル軍のガザ撤退、ガザの復興が盛り込まれている。

「イスラエルは満足している」とトランプ氏は主張するが

トランプ氏は31日、ホワイトハウス近郊の大統領公式別荘キャンプ・デイヴィッドで閣議を開き、ハマスと合意した最新の武装解除案について、イスラエルと「了解」に達したと発言。「イスラエルはこれに非常に満足している」と付け加えた。

ハマスが武装解除するのはイスラエル軍のガザ撤退前なのか、それとも撤退後なのかを問われると、トランプ氏は直接的な回答は避けつつ、ガザは依然として「非常に複雑な状況」にあると述べた。

また、ハマスの武器は平和評議会側へ引き渡されるだろうとも述べた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこれまでのところ、最新の提案についてコメントしていない。

しかし、イスラエルの高官は、「ハマスの真の武装解除がなければ、イスラエル国防軍(IDF)が現在のイエローライン(ガザでのイスラエル軍の撤退ライン)から撤退することはない」というのが自国の立場であり、それは今も変わらないと述べた。

イエローラインとは、昨年にアメリカが仲介したイスラエルとハマスの停戦合意に基づき、イスラエルが部隊を撤退させることに合意したガザ内の境界線のこと。

この合意では、イスラエルがイエローラインの外側にある地域を一時的に管理することになっていた。この地域はガザの領土の53%に相当する。ただ、ネタニヤフ首相は最近、IDFの支配地域は60%を超えていると述べている。5月には、これを70%まで拡大することを「指示」していると公に発言した。

ハマスは声明で、イスラエルがガザへの攻撃を終わらせると約束することが、合意を前進させる「根本的な前提条件」だと述べた。また、「自決権、そして独立したパレスチナ国家の樹立」が保障される必要があるとも主張した。

ハマスは、パレスチナの各派間の「全体的合意」のもとで、「責任ある前向きな」交渉を行ってきたとした。

戦争終結をめぐる協議に参加するパレスチナ当局者は、ハマスの新指導部による決定の背景には、ガザのパレスチナ人200万人超が直面する悲惨な人道状況があるとみている。ハマスは自分たちの決定を、同組織の歴史上最も重大な判断だと位置づけている。

31日の早い段階で、平和評議会はガザのための「ロードマップ」と称する文書を公表した。この中で、ハマスの段階的な武装解除や、イスラエル軍の段階的撤退、国際安定化部隊の展開という提案を改めて示した。

パレスチナ内外の反応

ガザのパレスチナ人やイスラエル人の一部は、この計画についての思いを、BBCに語った。

ガザへの空爆で自宅を破壊され、テント生活を送っている18歳のタラさんは、「停戦の可能性があると聞くたびに、今度こそ終わるよう願っている」と述べた。

「けれども、こうした約束が破られると、もっと怖くなる」と、タラさんはBBCのラジオ番組「ニュースビート」に語った。

大学生のタラさんは、日々の生活は「非常に厳しい」ままだとし、「毎日、新たな困難が生じるので、身の安全や、基本的な必需品のことを常に考えている」と述べた。

そして、「戦闘を止めて、民間人を守り、復興に向けた新たな章を切り開くことが一番重要」だとした。

舗装されていない道に、グレーの布で頭を覆った女性が立ち、カメラを見ている。周囲にはがれきが広がっている

画像提供, TALA

イスラエルで暮らすジョニーさんは、ガザでの停戦合意がうまくいくよう「祈っている」と述べた。「この連鎖の終わりは見えないが、そうなることを祈っている」と、BBCに話した。

イスラエルのダニー・ダノン国連大使は米CNNに対し、イスラエルは合意の「履行を心待ちにしている」としつつ、「我々は、(ハマスが)何を言っているかではなく、何をしているかを確認しなくてはならない」と述べた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、提案された合意について「ここ数日で唯一の良い知らせ」だと評価した。

イギリスのエド・ミリバンド外相は、「IDFのガザ撤退や、すべての当事者による停戦の順守」を含む20項目の和平計画の全面的な履行に焦点を当てる必要があると述べた。

ミリバンド氏はさらに、ガザの状況は「依然として悲惨だ」とし、イスラエルはガザへの「援助物資の流入に対する容認できない制限を直ちに終わらせなければならない」と訴えた。イスラエルは、援助物資の搬入を制限してはいないと主張している。

ガザでの戦争は、2023年10月7日にハマス主導のイスラエル南部奇襲をきっかけに始まった。イスラエル奇襲では約1200人が殺害され、251人が人質としてガザへ連れ去られた。

イスラエルは報復として、ガザでの軍事作戦を開始した。ハマスが運営するガザ保健省によると、イスラエルのこの作戦で、ガザではこれまでに7万3290人以上が殺害された。同省の数値は、国連が信頼できるものとして扱っている。