【解説】 米・イラン合意で不透明性は緩和、しかし課題山積

エンケラブ広場に臨む建物の二つの壁面にイラン国旗が大きく掲示されている。その前を車両や歩行者が行きかう

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画像説明, 14日のイラン・テヘランの様子
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セバスチャン・アッシャー 世界情勢担当編集委員

果てしなく出ばなをくじかれ続けるように思えたアメリカとイランの交渉は、ついに合意にたどり着いた。予想通り、どちらも勝ったのは自分だと主張している。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、「この偉大な合意は、地域全体に平和と安全をもたらすことになる」と大胆に宣言した。

イランのカゼム・ガリババディ外務次官は、覚書の署名を認め、自国の軍事的成果と呼ぶものをたたえた。

交渉を仲介した パキスタンを含めた全当事者は、この合意をもって、イランによるホルムズ海峡の封鎖とアメリカによるイランの港湾封鎖の両方が解除されると述べている。ただし、これは直ちに実現しないかもしれない。

ホルムズ海峡の封鎖が解除されれば、世界経済への打撃が緩和され、トランプ大統領への圧力もある程度やわらぐだろう。そして、イランの港湾封鎖が解除されれば、破綻しつつあるイラン経済への圧力も、多少はやわらぐだろう。

合意を最初に発表したパキスタンのシャバズ・シャリフ首相は、「レバノンを含むすべての戦線において、軍事作戦の即時かつ恒久的な停止を宣言した」と表明した。

それは、かなりの難題かもしれない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相には今のところ、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの攻撃をやめるつもりがあるようには見えない。

実際のところこの1週間だけでも、ヒズボラのロケット砲がイスラエル北部に侵入したことに対応して、イスラエルはベイルートの南部郊外を攻撃し、このため米・イランの交渉が2回も頓挫しそうになった。イランがぎりぎりでイスラエルへのミサイル攻撃再開を控えたのは、合意を成立させるためだった。

そのため今回の合意で、レバノンが一息つけるようになるのかは不透明だ。イスラエルとの2回にわたる最近の停戦合意は、どちらも定着しなかったからだ。

しかし、イラン周辺の湾岸諸国は、イランのミサイルの標的にされる状態が少なくとも今のところは終わるかもしれないと、安堵(あんど)していることだろう。イランが湾岸諸国に対してとったこの戦術は、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、サウジアラビアが追求する経済モデルの本質そのものに疑問符をつけていたからだ。

そして、どのような合意だろうと、イランの核兵器に関する取り決めが何より不可欠だというのが、アメリカの姿勢だが、イランの核兵器開発を阻止する保証と仕組みを今回の合意がどこまで提供するのかは、今のところ不透明だ。

イランが核兵器を持つ危険こそ、アメリカとイスラエルが開戦理由にした課題だった。イランの国営メディア報道からは、そのような仕組みが合意に含まれた可能性もうかがえる。しかし、今後の明確化が必要だし、おそらく合意文書に調印した後、激しい交渉の対象となるのだろう。

調印式はまだ数日先だ。ここに至るまでの交渉プロセスがここ数週間、劇的なほど二転三転してきただけに、調印当日までの道のりが必ずまっすぐなものになるとはだれも確信できない。

しかし今のところ、何週間も停戦と軍事対立の間で揺れ動いていた紛争の不確実性は、少なくとも部分的には解消された。