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UAEが5月1日にOPEC脱退へ、かねて生産拡大に投資
ニック・エドサー、アーチー・ミッチェル、ジョナサン・ジョーセフス ビジネス記者
アラブ首長国連邦(UAE)は28日、石油輸出国機構(OPEC)およびロシアなど非加盟国を加えたOPECプラスから5月1日に脱退すると発表した。
UAEはこの決定について、生産能力拡大のための最近の投資を踏まえ、長期的に増大する世界のエネルギー需要に応える助けになるとした。
スハイル・アル・マズルーイ・エネルギー相は、OPECおよびOPECプラスに対する義務を負わない国になることで、より大きな柔軟性が得られると述べた。
UAEの離脱はOPECにとって打撃と受け止められている。アナリストの一人はこれを「OPECの終わりの始まり」と表現した。
UAEのこの動きは、OPECが「世界の他の国々から搾取している」とかねて批判してきたドナルド・トランプ米大統領にとって勝利を意味する。
トランプ氏は1月、サウジアラビアなどOPEC諸国に対し「原油価格を引き下げる」よう求め、関税を使うとの脅しを強めていた。
さらに、UAEのこの動きは、同国とアメリカとの関係強化への道を開く可能性がある。
エネルギー調査会社MSTファイナンシャルでエネルギー調査責任者を務めるソール・カヴォニック氏は、これを「終わりの始まり」だと述べ、「UAEが離脱すれば、OPECは生産能力の約15%と、最も協力的だった加盟国の一つを失うことになる」と話した。
OPECとは
OPECは1960年、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ヴェネズエラの5カ国によって設立された。加盟国の安定収入を確保するため生産を調整し、主要産油国の利益を守ることを目的としている。
加盟国の数は長年にわたり増減してきた。創設時の5カ国に加え、アルジェリア、赤道ギニア、ガボン、リビア、ナイジェリア、コンゴ共和国が含まれる。
UAEは1967年に加盟した。同国の脱退により加盟国数は11となる。参加国がより多様なOPECプラスには、OPEC非加盟の10カ国が含まれる。
UAEの決定は、中東での戦争により過去最大規模の石油供給減少が生じたと世界銀行が警告する中でのもの。
世界銀行によると、石油供給減少の結果として今年のエネルギー価格は24%上昇する一方、ホルムズ海峡を通る海上輸送が戦前の水準に戻るまでには6カ月かかる可能性があるという。
世界銀行グループチーフエコノミスト兼上級副総裁(開発経済担当)のインダーミット・ギル氏は、「最貧困層は家計に占める食費と燃料費の割合が最も大きいため、特に深刻な打撃を受ける」と述べた。
ホルムズ海峡の閉鎖が続くことから、UAEのOPEC離脱は短期的には世界のエネルギー供給に直ちには影響しないものの、長期的には生産量増加につながる可能性がある。
複数のエコノミストによると、UAEは石油の生産能力拡大に多額の投資を重ねており、以前から増産を望んでいたという。
英調査会社キャピタル・エコノミクスのチーフ気候・商品エコノミスト、デイヴィッド・オクスリー氏は、UAEのOPEC離脱が原油価格の低下につながる一方、今後数十年で市場の変動性が高まる可能性があると指摘。UAE自体は小規模だが、他の加盟国が離脱したり、ロシアやサウジアラビアのような国が増産を決めたりすれば、影響は大きくなり得ると付け加えた。
英エネルギー会社クリストル・エナジーの最高経営責任者で、NGO「アラブ・エナジー・クラブ」の事務総長も務めるキャロル・ナクレ博士はBBCに対し、UAEの決定は「長い時間をかけて固まったもの」だと話した。
「UAE政府は野心的な生産能力拡大を追求してきたが、特に一部の加盟国がOPECの決める生産割当を順守しない中で、UAEは制約を感じることが多かった」と、同博士は述べた。
また、OPECに加盟するイランの行動も、UAEの決断を後押しした可能性が高いと付け加えた。
OPECの最新統計によると、2024年の石油生産量は、UAEが日量290万バレルだったのに対し、OPECを事実上主導するサウジアラビアは日量900万バレルだった。複数の専門家は、UAEはOPEC外で日量約100万バレルの増産が可能だと話している。
英ウォリック・ビジネス・スクールのデイヴィッド・エルムズ教授は、UAEは採掘した石油の損益分岐点が最も低い国の一つで、サウジアラビアのほぼ半分だと指摘。これは、原油価格が低い局面でも利益を確保できることを意味する。
「つまり、UAEはもっと多く売りたい一方で、価格を高く保つことにはあまりこだわっていない。(OPEC離脱によって)それが可能になる」と、同教授は説明した。
前出のカヴォニック氏は、「サウジアラビアは他のOPEC加盟国をまとめるのに苦労し、内部統制と市場管理の大部分を事実上、自分たち一国で担わざるを得なくなる」と指摘。他の加盟国もUAEに追随する可能性があると付け加えた。
「これは中東と石油市場に、根本的な地政学的再編をもたらす」