米俳優ウォルター・ケーニッグさんが90歳で死去、「スター・トレック」のチェコフ役

「スター・トレック」の一場面。黄色いシャツの制服を着た男性が、エンタープライズ号の艦橋で機器に向かって難しい顔をしている。
画像説明, ケーニッグさん演じる航海士チェコフは1967年から、テレビドラマ「スター・トレック」に登場した
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ポール・グリン 文化担当記者

アメリカの人気SFテレビシリーズ「スター・トレック」で、ロシア人乗組員の「パヴェル・チェコフ」を演じた米俳優ウォルター・ケーニッグさんが25日、ロサンゼルスで死去した。90歳だった。

ケーニッグさんの代理人はBBCに対して声明で、「私たちは本日、ウォルター・ケーニッグの逝去を悼んでいます。彼の才能、温かさ、そして忘れがたい演技は、世界中の何世代にもわたるファンに深い印象を残しました」と述べた。

代理人は、ケーニッグさんが25日の夜、ノースハリウッドの自宅で「娘とめいに囲まれて」老衰のため亡くなったことを確認した。

ケーニッグさんは、1966年に放送が始まった「スター・トレック」の第2シーズンから出演。熱心で真面目な若い航海士チェコフとしてレギュラーになり、その後1979年から1991年にかけて制作されたオリジナル・キャストによる6本の映画でも、同じ役を演じ続けた。

1990年代半ばから後半にかけては、別のSFテレビドラマ「バビロン5」で、冷酷な超能力者、アルフレッド・ベスターという全く異なるキャラクターを演じた。

「スター・トレック」で長年、共演したジョージ・タケイさんは26日、「ウォルターはチェコフ以上の存在だった。彼は作家で、教師で、思慮深い人物で、忠実な友人だった」と振り返り、「安らかに眠ってください、大事な友達。これからも穏やかな航路を歩み続けてください」と追悼した。

岩を背に、赤いシャツの制服のスコッティ、黄色いシャツの制服のチェコフの前で、黄色いシャツの制服のカークが通信機を手に話している
画像説明, 1968年の「スター・トレック」の一場面。左から、ジェイムズ・ドゥーハンさん演じる「スコッティ」、ウィリアム・シャトナーさん演じる「カーク船長」、ケーニッグさん演じる「チェコフ」

ケーニッグさん演じるチェコフは、ウィリアム・シャトナーさん演じるジェイムズ・T・カーク船長率いる宇宙船「エンタープライズ号」の冒険に、温かさとユーモアを加えた。

ケーニッグさんはシカゴで生まれ、マンハッタンで育った。リトアニア出身の、ソ連系ユダヤ人移民の息子だった。

ニューヨークの有名なネイバーフッド・プレイハウス演劇学校で、ジェイムズ・カーンさん、クリストファー・ロイドさんなどと共に学んだ。

「スター・トレック」のチェコフ役が大きな転機となり、世界的に知られる存在となった。

1960年代後半の若者世代にアピールするよう、ビートルズ風ないしはモンキーズ風のマッシュルームカットの、若く有能なロシア人少尉として登場した。世の中の「あらゆるものはロシアで発明された」と言うのが、チェコフの定番ジョークだった。

テレビシリーズ「スター・トレック」は1966年秋から米NBCで放送が始まった。冷戦と米ソ宇宙開発競争が続く現実の世相とは裏腹に、未来では各国が協力して宇宙を探査するようになったのだという世界を描いているだけに、ロシア人航海士チェコフの登場は、作品が描く理想の未来にも合致していた。

「スター・トレック」の生みの親、ジーン・ロッデンベリーさんのスタジオは長年、ソ連共産党の機関紙プラウダが、宇宙進出を舞台にしたドラマにロシア人キャラクターがいないことを批判したため、チェコフを第2シーズンから投入したのだと説明していた。しかし、実際には若者層にアピールするためだったと、後にケーニッグさんも認めている。

米誌ハリウッド・リポーターによると、ケーニッグさんはかつて、番組におけるチェコフの役割は「物語の骨組みを提示し、マッコイ、スポック、カークにそれを埋めてもらうこと」だと述べていた。

1979年から始まった映画シリーズでチェコフの存在感は増し、「スタートレックII カーンの逆襲」(1982年)と「スタートレックIV 故郷への長い道」(1986年)での功績を評価され、ケーニッグさんはSF・ファンタジー・ホラーアカデミー賞にノミネートされた。

オリジナルキャストの映画シリーズが6作目で終わった後は、次世代の乗組員たちを中心とした「スタートレック ジェネレーションズ」(1994年)に短く出演した。その後は、2023年のドラマシリーズ「スター・トレック:ピカード」で「アントン・チェコフ大統領」の声を担当した。

1973年にはオリジナル・シリーズのアニメ版で、新作エピソード「無限のバルカン」の脚本も執筆した。

黒字に金色の文字で「STAR TREK」と書かれた背景を背に、黒いポロシャツ姿の高齢男性がマイクを手に話している
画像説明, 2019年にラスベガスで開催された第18回公式スター・トレック大会では、「オリジナルシリーズ」パネルで講演した

作家でもあったケーニッグさんは、テレビドラマ「刑事コロンボ」や「フューチュラマ」にも出演した。

今年初めには短編映画「ミスター・フライシュマン」での演技が評価され、2026年インディペンデント・ショート・アワードで最優秀男優賞のプラチナ賞を受賞した。

1965年に俳優のジュディ・レヴィットさんと結婚し、2022年にレヴィットさんが亡くなるまで添い遂げた。レヴィットさんは、3本の「スター・トレック」映画や「バビロン5」で夫と共演した。

夫妻は2010年、息子アンドリューさんが41歳で自殺するという悲劇に見舞われた。アンドリューさんはABCのシットコム「グローイング・ペインズ」に出演していた。

ケーニッグさんの遺族には、俳優兼脚本家の娘ダニエル・ケーニッグさんがいる。ダニエルさんは、ディズニー・チャンネルのテレビアニメシリーズ「悪魔バスター★スター・バタフライ」の制作に携わった。