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米FRBが金利据え置き パウエル議長、トランプ政権による法的な「攻撃」に対し警告
アーチー・ミッチェル・ビジネス記者
アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は29日、政策金利を年3.5~3.75%の幅で維持すると決定した。ジェローム・パウエル議長は任期が終わりに近づいており、司法省による捜査や後任の承認などであわただしい状況が続くなかでの発表となった。
司法省は24日、FRB本部の改修工事費が超過したとされる疑惑をめぐる、パウエル氏に対する刑事捜査を打ち切ると発表。これを受けて連邦上院の委員会は29日、ドナルド・トランプ大統領が後任に指名していたケヴィン・ウォーシュ氏の承認にゴーサインを出した。
トランプ氏はホワイトハウス復帰以来、FRBに利下げを求めて圧力をかけており、パウエル氏を繰り返し批判してきた。ウォーシュ氏も同様の圧力に直面するとみられるが、議長職を継ぐにあたり、中銀の独立性を守ると誓っている。
パウエル氏は金利政策発表後の記者会見で、米・イスラエルとイランの戦争からトランプ氏のFRBに対する攻撃まで、幅広いテーマについて語った。
戦争の不確実性を受けての据え置き
FRBは今回、イラン戦争によって生じた経済の不確実性に対し、「様子見」の姿勢を維持した。
この紛争はエネルギーコストを押し上げており、ガソリンや食品の値上がりとしても影響が表れている。
こうした状況を背景に、FRBは、この紛争がどの程度続くのか、そして影響がどこまで深刻化するのかが明らかになるまで待つ必要があるとして、金利を据え置く判断を下した。
アメリカの3月のインフレ率が3.3%に跳ね上がり、2024年5月以来の高水準となった後、近いうちの利下げへの期待は打ち砕かれていたが、FRBの声明は、次回会合で利下げを行う可能性を示唆していた。
しかし、英パンテオン・マクロエコノミクスのアメリカ担当チーフエコノミストであるサミュエル・トムズ氏は、29日に原油価格が反発したのは、アメリカがイランの港湾を出入りする船舶の封鎖を長期にわたって維持するとの見方によって引き起こされたものだと指摘。利下げは2027年まで先送りされる可能性があると語った。
一般に中央銀行は、インフレ率が高い場合、人々の消費を抑え貯蓄を促すために金利を引き上げることで、インフレ引き下げを狙う。その一方で、経済が低迷している場合には、雇用創出と経済成長を後押しするため、消費や投資を促す目的で金利を引き下げる傾向がある。
捜査の「完全終結」までは理事にとどまるとパウエル氏
パウエル氏にとって、今回がFRBトップとして最後の会合になると見込まれているが、同氏の理事としての任期は2028年まで続く。
パウエル氏は記者会見で、トランプ政権が自身とFRBを対象に行っている調査が「完全に終結する」まで、FRBにとどまると述べた。
首都ワシントンを担当するジャニーン・ピロ連邦検事は24日、刑事捜査を打ち切り、今後はFRBの内部監査が調査を続けると述べたが、パウエル氏は、ピロ検事は「ためらうことなく捜査を再開する」と考えていると語った。
「私は、この捜査が透明性と最終性をもって完全に終結するまで理事会を離れないと述べてきたし、その考えに変わりはない」とも、パウエル氏は語った。
パウエル氏の理事会残留は、パウエル氏とたびたび衝突してきたトランプ氏を失望させるものだ。
また、今後ウォーシュ氏が下す決定や発言に対する監視が一段と厳しくなる可能性があるが、パウエル氏は「目立たない行動」を取ると約束し、事実上の「影の議長」として振る舞うことは「決してしない」と述べた。
法的措置がFRBを「打ちのめしている」
パウエル氏は記者会見で、トランプ政権による「法的な攻撃」は、言葉だけの批判よりもはるかに深刻だと警告した。
同氏は、トランプ政権による法的措置が「組織そのものを打ちのめし、国民にとって本当に重要なものを危険にさらしている」と指摘。「それは、政治的要因を考慮することなく金融政策を遂行する能力だ」と語った。
また、自身への法的攻撃については、「これは(FRBの)113年の歴史の中で前例がないものだ。また、同じような措置がさらに取られるとの脅威も続いている」と述べた。
ウォーシュ氏の任命は確実に
司法省のパウエル氏に対する捜査は、後任議長の承認の障害となっていた。共和党重鎮のトム・ティリス上院議員は、トランプ政権がパウエル氏に対する捜査を打ち切らない限り、ウォーシュ氏の指名を承認しないと表明していた。
捜査打ち切りを受けてティリス議員は29日、上院銀行委員会の他の共和党議員と足並みをそろえ、ウォーシュ氏の任命に賛成した。
ウォーシュ氏は今後、承認手続きの最終段階として上院本会議での採決に臨むが、共和党が上院を掌握していることから、承認は形式的なものになるとみられている。唯一残る懸念は、パウエル氏の任期が終了する5月15日までに承認が間に合うかだ。
パウエル氏は29日の記者会見でウォーシュ氏を祝福し、承認手続きが順調に進むことを願うと述べた。