WFP、資金不足でガザ支援縮小 住民の食料確保がいっそう困難に

ヨランド・ネル中東特派員(イスラエル・エルサレム)
パレスチナ・ガザ地区に食料を供給している主要機関の世界食糧計画(WFP)が、資金不足のため、ガザへの「人命救助の支援を大幅に縮小」せざるを得ないとしている。
国連機関のWFPによると、支援できる人数が現在の約160万人から約3割減り、110万人になるという。
ガザでは、冬が近づくなか、多くの家族が依然として食料確保に苦労している。それと重なるように、今回の支援縮小が実施される。
影響を受けるものの一つに、地域の食事提供場所「コミュニティーキッチン」での温かい食事がある。現在は1日25万食が提供されているが、今後15万食に減らされる。
支援機関がたどり着きにくい地域の家族には、これまでのように毎日ではなく、隔日で食事が提供されることになる。イスラエルの軍事支配地域の境界線「イエローライン」の周辺などが、そうした地域に該当する。
ガザ地区では人口約210万人のほぼ全員が、いまなお避難生活を強いられている。3分の2は食料支援に頼りながら命をつないでいる。

「大惨事だ! 配給が減らされ、どうしろというのか? 幼い子どもたちをどうやって養えばいいのか?」。ガザ南部ハンユニスのアル・マワシ地区の避難民キャンプでは、子ども5人の母親メルヴァト・アル・サタリさんが、WFPの発表を知って嘆いた。「私たちは食べ物を口にするために、これらの配給を待つこともある」。
3人の子どもの母親サウサン・バフルールさんは、「私たちに大きな影響が及ぶ。毎日の支援でどうにかやってきたが、それが今後は2日に1回になる」と話した。そして、今でもすでに、コミュニティーキッチンから提供される食事(通常はパスタかレンズ豆で、時折ジャガイモやナスが添えられる)は、家族を養うには少なすぎると付け加えた。
WFPパレスチナ事務所のショーン・ヒューズ代表は、今回の支援縮小は財政上の理由によるものだと説明。「ニーズが減っているからでも、現場に入れないからでもない。現地入りは可能だ」と明言する。

約50万人を対象とした現金給付は、すでに7月から縮小されている。住民にとっては、地元の市場で食料を買うための現金が減っていることになる。WFPから小麦粉の袋や食材が入った箱を受け取るガザ住民は毎月約110万人いるが、今後は毎月約60万人に減る見込みだ。
WFPは、2026年のパレスチナでの活動資金について、それまでの年の半分以下に減ったとしている。また、今後6カ月間の「重要な」活動を維持するために、4億5000万ドル(約710億円)が緊急に必要だとしている。
パレスチナの武装組織ハマスとイスラエルは1年前、停戦で合意した。だが、イスラエルが毎日のように空爆を実施するなど、暴力は続いており、ガザ地区の人道状況は依然、深刻なままだ。
復興も回復も進んでいない。イスラエルは、ガザへの物資の搬入を検問所で厳しく管理している。食料市場には現在、物資が豊富に並んでいるが、そこで購入できる人はわずかだ。ガザ地区では8割以上の人が失業しており、住民のほとんどが援助に頼っている。

現在WFPの食料配給を受けている家族は、量が不十分で、多様性もほとんどないとBBCに訴えた。
「小麦粉が足りないし、食料配給箱の中身も足りない」。ガザ市の自宅の廃墟で暮らす8人家族の母親ダラル・アル・ダドゥーさんは、こう言う。新たな支援縮小については、「大きな影響」を受けると危惧している。
アル・ダドゥーさんは、現在の絶望的な状況と、戦争前の生活を対比させて、こう言う。「以前は、ありがたいことに、自分たちの家があり、素晴らしい生活を送っていた。新鮮な野菜、きちんとした衛生設備、自分たちの土地もあった」、「それが今では、WFPの引換券など、全て援助に頼って生活している」。
ガザ地区では調理用のガスもない。イスラエル政府がガスを、ハマスが軍事目的で使用する可能性がある「軍民両用」物資とみなしているからだ。薪(まき)は高価なので、多くの家庭は子どもたちに、路上でプラスチックや段ボールを探させている。それを燃やし、パンを作ったり食べ物を温めたりしている。
WFPパレスチナ事務所のヒューズ代表は、「依然として非常に憂慮すべき人道状況で、人々は劣悪な環境で生活している。ほとんどの人がまともな住居を持たずにテントで暮らしており、水や衛生設備、医療へのアクセスも悪い」とBBCに話した。
「食料支援の縮小は、多くの家族がこの3年間直面してきた苦難をさらに悪化させる」

人道支援関係者らによると、ガザ地区の状況は1年前と比べてわずかに改善したものの、深刻な食料不安と飢饉(ききん)再発の危険性が、依然として同地区に重くのしかかっているという。
食料安全保障に関する世界有数の専門家らでつくる「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は、ガザの人口の3分の2にあたる約140万人が「2026年7~12月に、危機またはそれ以上の深刻な食料不安に直面すると予想される」と報告した。
WFPは今のところ、ガザ地区のパン需要の3割を供給しているパン屋への支援を継続したり、約30万人の女性と子どもに栄養支援を提供したりできるとしている。また、約20万人の子どもらに対する健康的な軽食の提供もしている。
イスラエルの占領が続くヨルダン川西岸地区では、WFPは9月に支援対象者を半減させたものの、なお約20万人のパレスチナ人に対し支援を継続している。
WFPによると、西岸地区では、イスラエル人入植者による暴力と、パレスチナ人の避難民が増えていることを主な背景として、食料不安が高まっているという。












